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yu

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座標と手触りのはなし -

ゲストハウス時代、韓国からきたお客さんは今でも自分のことを気にかけて連絡をくれる。
もう10年くらいの付き合いになるらしい。

日本のコンビニ寿司をこよなく愛する彼と僕はいま、たまたま似たような仕事をしていて。
彼がこっちにくるときは多少ムリをしてでも酌を交わすようにしてる。

どこかのガード下。
裏ぶれてたり、奥まったところ。

金がないときから安酒呑みが染み付いた2人には
若気のないくたびれた店がちょうどいい。

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同じようなことで、悩んで、たたかってる。
舌先三寸なければ、良い悪いも、答えもないような話。

おたがい言葉もままならないから、取りこぼしたり、繰り返したりだけれど。
不便とは感じない。

目配せ、声色、しぐさ、表情が。
手触りのある行間が、たがいへの余白をもって酒をうながし、話をはずませる。

そんな彼には酌み交わすごとに心地よさをもらいつつ。
それと同時にふと内省させられる。

ながらく仕事に耽っちゃったな。
似合わないことしたなと。

何かを為そうとすることと、生きようとすることは違う。
なんとなくそう思ってる。
関係ないけど、旅行と旅も自分の中ではなんか違う。

結果を求めて、
答えを急いで、
皮算用のくり返し。
生きるが抜け落ちてた。
どうりで。

歳を重ねるごとに世間をみる解像度が上がっていってるのか、はたまた時代なのか。
なんなのか分からないけど、楽しそうに話してる顔をみながら、ちょっとだけさみしい気持ちになる。そして酒が喉元すぎたら忘れてる。

彼は別れ際、いつもタバコを1本くれる。
彼の口から本音がぽろっとこぼれる。
酔いがまわってヘラヘラしてても、それだけは取りこぼさないように。

不便は感じないなんて言ったけど、ホントはちょっと不便だ。
でもその不便さが、やりとりの歪みが、
軸足のブレと座標を示してくれる。
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