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空転透過🍀
いつも不機嫌だった訳ではなかったけれど、その印象が強かった。
兄と二人でテレビを見ていたら急にチャンネルが野球中継に変わった。僕らの後ろから父がリモコンを操作したからだ。何も話さずムスっとして。
別の記憶では父が仕事から帰って今のソファに座り、母が食膳を用意していた時のこと。
母がおかずの皿を運んできた時、つまずいて床に皿をひっくり返してしまった。けれど、父は何も言わなかった。何事もないかのように冷たく。母も何も言わず床を拭いていた。
記憶に浮かぶのはその二つだけなのに、いつも家の中がやけに暗く感じていた。
大人になって父と母の間にもいろいろな事情があったこともぼんやりとわかり、いつもそばにいる母に肩入れする形で見ていた景色も、自分が父親になることで少しずつ変わってきてはいる。
とくに僕の娘に対する父の対応の仕方を見ていると、こどもと遊ぶのが嫌いでないことを発見したりもした。家で乳児の娘を初めて風呂に入れる時、風呂の入れ方を教えてくれたのも父だった。
父は僕と兄が乳児だった頃、仕事の昼休みにわざわざ2時間ほどかけて家まで帰って来て、僕らを風呂に入れてくれたりもしていたらしい。
だからと言って、僕が感じていた父の不機嫌そうな記憶が無くなるわけでもなく、今でも父は普段から無表情で不機嫌そうにしているように感じることの方が多い。
僕はそんな父をみていたから、不機嫌な父親にはなるまいと昔から考えてはいた。しかし、気がつけば自分が親に似ていて同じような不機嫌さで娘に接してしまっていることも多いと気付いている。
それでも気をつけている訳だから多少はマシなのではないかと思ってはいた。
そこで僕は娘に直接、訊いてみることにした。
「お父さんは昔、おじいちゃんが不機嫌なのが嫌だったから、自分が父親になったら不機嫌にはならないでおこうって思ってたんやけど、どのくらいできてるかな?」
パソコンで動画を見ていた娘は一旦停止をして僕の方に振り返り、「うーん」と言って言葉を選んでいる。
「何点ぐらい?50点?」
あまりできていないことを自覚してもいるから低く見積もり、それでも少しは期待しての50点。
それでも娘は「うーん」とさらに考えている。
そんなにできてないのか、と不安になり
「40点ぐらいか?」
再び僕の方から点数を下げて訊き直す。
「48点くらいかな!」
娘は少し笑いながらそう答えて、パソコンの画面に顔を向け、また動画の続きを見始めた。
娘の笑いの中に父に対する情けを感じた。
本当は40点だったのかもしれない。
僕は「もっと頑張るわぁ」とすでに話を聞いていない娘に答えた。
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