月曜午前の写真散歩、突如話しかけてきたのは...

共感で繋がるSNS

投稿

空転透過🍀

2025/05/21

月曜日の写真散歩は、午前中から出掛けたので時間はたっぷりとあるはずだった。

「猫、撮ってはんの？」と声をかけられた。
声をかけてきたのは八十歳ぐらいのおばあちゃん。
僕は、その人の自宅と思われる家の隣の敷地の、作業用トラックと倉庫のような建物を撮ろうとしていた。

不審に思われたのかと思って(十分に不審だとも自分で思うけれど)「いえ、こんな感じの写真を撮ってるんです」とカメラの画像を見せる。
「建物の色合いとか、いいなと思ったものをなんとかかっこよく撮ろうと思って」とさらに説明していると、おばあちゃんは、
「そんなんあかんわ。もっと綺麗な風景とかを撮らんと」と、あっけらかんと否定してきた。

「私もこんなん撮ってるで」と今度はおばあちゃんがスマホを取り出して話ながら写真を見せてきた。
おばあちゃんは猫を飼っていて外にエサの器を置いている。そのエサの残りを食べにアライグマが夜中にやってくるそうだ。
そのアライグマをおさめた写真。暗闇にアライグマの目が光っていた。

「うちの花とか撮ってぇや」と言ってくる。
「ああ、いいですね。花も撮ったりしますよ。写真撮るまではそれほど興味がなかったんですけど、撮るようになって他人の庭とか気になって仕方ないですわ」と言いながら、おばあちゃんちの敷地に僕も入って行く。

それから、庭を草が生えるままに放置してたら不動産屋に目をつけられて、何人も来て、『もう、そろそろですかねぇ』とか言われた、とおばあちゃんが話す。
『マンションの方が楽ですよ』などと言って、庭を放置している家なら手放すかもと不動産は失礼にも寄ってくるらしい。
だから、一生懸命、花を植えて綺麗にしたんだとか。おばあちゃんの庭には、色とりどりの花が綺麗に咲いていた。

と花の話をしていたかと思えば「うちの猫は今日はおらんなぁ」と話が変わる。僕も返事にいろいろ話すがあまり聞いていない様子。
猫を飼っているから、最初の「猫、撮ってはんの？」という声がかけられたようだった。

その後も猫の保護活動系YouTuberの話とか、おばあちゃんの息子の話、この辺り土地の話とか、笑いも含めながら話した。

最後に、少し迷ったが言ってみようと思って、ちょっと前の投稿に書いたアナーキストの友達が四月からこの町の町会議員になったんだ、と話してみた。

「ほな、ここらにもチラシとか配ってたんとちゃうか、あんたも手伝ったんかいな？」
「いえ、僕は少し前に十年振りにあって議員をやっていると聞いたところなので」
「ほな、あんた、四年したらその友達は町長に立候補するつもりちゃうか？あんた、その時に手伝ったりぃや」
「ああ、そうですね。もし、そうならその時は手伝いますわ」
「ほな、また四年後に来てや」
「わかりました。ほな、四年後に！」

気が長いのか短いのか、おばあちゃんは自分の年齢をわかっているのか。
たぶん、元気そうだから大丈夫だろうと思いながら、おばあちゃんと別れた。

空腹感を覚えた。
おばあちゃんに会う前に時計を見た時は午後一時過ぎだったから「一時半過ぎぐらいかな？」と思って時計を見た。
二時二十分…

時間はたっぷりとあるはずだったんだけどなぁ。

話題の投稿をみつける