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太郎さん

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『フェルナンデス』をめぐり、石原吉郎をめぐるとき 7                      

「一つの詩を終る時になると、何か最初の出発点に返って行かなければならない気がして来ます。そうでないと、何か円がまとまらないような感じがして、最初に出て来たイメエジをおしまいに又持出す形になるんですが、これでいいと思うんです。どういう駅を出発して来たか、ということが、終りになって大事になってくるんです。」
 「(略)」僕、自分は少し特殊なところがあるんじゃないかと思うんです。一昨年の暮引揚げたばかりなんですし、……(略)どうも人の中にまぎれこめないような、何か押しだされたような気がしています、今だに。一寸人に説明してもわからないでしょうが、それから僕みたいな境遇にあったものは過去というものに対するノスタルジアがとても強いんです。過去をいろんな形でたてなおしてみたい気持で一杯ですね。来年をうたう事は出来ないんです。いつも過去をうたっていなければならないんです。」
 「過去にこだわっているんです。しかしその事が、いま生きて行く力になっているんじゃないかとも思っています。過去というものについて、変なことを考えています、実に(笑)。過去を全部歩きなおす事ができるんじゃないかなどと。これをこの間から書こうと思っています。……(略)過去というものの意味はきまっている、しかしその意味を変える事ができるんじゃないか、観念で変えるんじゃない、実際に過去のある地点までもどって、過去をもう一回歩きなおすというようなことですが……」(『石原吉郎全集』『年譜』適宜改稿=筆者)。  

よく自省すれば判ることだが、われわれもその時代じだいに翻弄され、われこそはと名乗り出て、みずからの狂気を狂気と知らぬままに演じなければならない『ドン・キホーテ』であり、『贋作ドン・キホーテ』ではないだろうか。「〈フェルナンデス〉」「しずかなくぼみは/いまもそう呼ばれる」。
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