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manacuba
神の国。その言葉が私の記憶の初めにある。
二階の窓からは廃棄処理工場。幼い頃の原風景。物乞いの老婆が言う。毎日吐き出される黒い煙の向こう、私たちの健康を損ねる悪魔の息の向こうに神の国があると。
どうしてだろう。私の記憶は目に映る風景は汚く、耳に入る言葉は美しい。
私は黒く幻想的な絵画を好み、天国をイメージさせる言葉を求めるようになる。
私はいつからか学校に通うようになった。国語の教科書はくだらない言葉で溢れている。私はずっと老婆から美しい言葉を聞いていた。あの老婆は詩人だったという噂だ。
詩人は呪いをかけられ、醜い老婆に姿を変えられ、この煙で黒ずんだ街に追放されたとか。
ある日、私は退屈な授業を抜け出して、廃棄処理工場の向こうに行ってみた。
私は初めて海を見る。海という言葉が何を意味するか知り、そして海は私から言葉を奪う。
私は知る。言葉によらない美を。 私は果てしなく広がる青の前で動けなくなる。
無限とも思える時間。昼の時間は永遠とも思えた。
そして太陽が海に沈む時、私は永遠が終わってしまったと、美には終わりがあることを知る。
老婆は言っていた。美を永遠の球体に留めるために、詩の言葉を刻んだ罪により、天国から追放されたのだと。
私はいずれ罪を犯すだろう。私は神の国に行けないのかもしれない。
それでも言葉は永遠だ。
この街に美と永遠は刻まれる。
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