田中小実昌『ミミのこと』を読んだ。物語は戦後間もない日本が舞台だし、いまじゃぜんぜん使わない言葉が出てくるし、カタカナの使い方も古臭くて、2025年に読むとすごく“昔の小説”に感じそうなものだけど、田中小実昌の文体はまったく褪せない。ふにゃふにゃと強固なオリジナルさ、ゆえだと思う。