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イグアナ
続々とアーリーオータムの化粧品がでる。
こころなしか日も短くなっている。
夏はいつの間にか、別れを告げている。
どうしよう、なのに寝ても寝ても眠たい。
海も浴衣も花火もまだなのに、
夜の湿度がさらりと体をすりぬける。
旅行記が全く進まないので呆然とした時、
昔書いた熱海旅行の記録があったなと、
ふと思い出した。
10年以上前、イグアナはイグニッキ、
というブログを書いていた。
検索をかけてみると、
思いの外簡単に見つかった。
29歳のイグアナは、熱海をより楽しむため、という名目で、尾崎紅葉の金色夜叉を読んでいた。
半身浴をしながら爆笑して文庫本を読んでいたことを思い出した。
ヒロインお宮はお金に目が眩んだか、
将来を約束した貫一より
お金持ちの富山と結婚してしまう。
そんな貫一が月の明るい熱海の浜辺で、
裏切ったお宮を足蹴(!)にし、
恨み言をぶつけるシーンが、
熱海にあるあの有名な像である。
高尚な文体と中身のギャップが当時のツボで、
双方に突っ込みをいれながら笑い転げていた。
当時一緒に暮らしていた動物と、
当時一緒に暮らしていた人、
石鹸を手作りしたり、
ケーキを焼いたり、
うさぎと散歩に出かけたりしていた、
そんな日々が無邪気に綴られていた。
軽いタッチで、と書こうとして、
当時はそんなことも意識はしていなかったと、
懐かしく思った。
それは年若い人に若々しいとは、
言わないのに似ている。
瑞々しい、ということか。
そんなことを考えながら、
買ったばかりのアイシャドウを塗る。
くすんだグリーンが、美しかった。

If I Ain't Got You
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この文章そのものをコラムに載せてもよいくらい!
ぱんだだだだ
上質なエッセイを読んでうれしい気持ち[ハート]
ゆに
そのころの文章もみてみたいな。 イグアナさんの文章は美しい。 とても、とても美しい。 ここに書くように、、 ふんわりと、構えず書いても、 きっと、良いのができるよね、、。 フレンチトースト、おいしそう。 1口、2口、食べた後の写真がよいよね。 口に甘い香りがのこる錯覚。
tact
金色夜叉はコメディだとばかり思っていた←映画を見た後←芸術に失礼だと怒られた(笑) イグアナさんの文章は質の良いエッセイのようで好きです。
いっしー
いやいや、夏はまだまだですぜ(*´ω`*)もううんざり