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飲食店にのひとりの女の子が
妹と弟を連れて入ってきた
貧相な子供たち3人は
モジモジしながら 厨房に一番
近い席に座った
"おじさんジャージャー麺を
ふたつください"
ヨンチョルは 厨房にいる
妻のヨンソンに注文を伝える
"ねぇ お姉ちゃんは食べないの?"
"お姉ちゃんは お腹が痛くて
食べられないの 今日はあなたの
誕生日だから おいしく食べてね"
上の子はそう言いながら
弟の手をぎゅっと握ってあげた
"私たちにもママとパパがいたら
あんなふうにご飯を食べたいね"
妹は向かいのテーブルで両親と
過ごす子供たちを羨ましそうに
ながめていた
その時ヨンソンが厨房から急いで
出てきて 子供たちに話しかけた
"もしかしてイネじゃない?"
突然の問い掛けに
上の子はきょとんとしていた
"はいそうです おばさんは?"
"あなたのママの友達よ
私を覚えてない?ヨンソンだよ
近所に住んでいたんだけど
あなたが小さい時だったから… "
ヨンソンはうれしそうに
子供たちの顔をひとつひとつ撫でた
かたくなっていた子供たちの顔に
明るい笑みがこぼれる
"少し待っててね おばさんが
おいしいものを作ってあげるから"
ヨンソンは食べている子供たちを
ずっと満足そうな顔でながめていた
帰る時もヨンソンは店の前に立ち
子供たちが遠く見えなくなるまで
手を振ってあげた
ヨンチョルはヨンソンに聞いた
"どこの家の子だっけ
まったく思い出せないよ"
"実は 私も知らない子たちなのよ
料理をタダで出したら あの子たちが
傷つくかもしれないから… "
"そうか…でも なぜ名前を?"
"話が厨房まで聞こえてたのよ…
空腹を我慢して下の子に頼んで
あげる様子が かわいそうで… "
ヨンソンの目に 滲んでいる涙は
すぐにでもこぼれ落ちそうだった
子供たちを傷つけまいとする妻を見て
ヨンチョルは沢山のことを考えた
傷つけずに愛するというのは
どれほど難しいことだろう
黙って痛みを包み込むのは
どれほど美しいことだろう
#イ・チョルファン
#月の街山の街
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