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はるまき
作者、はるまき
第一章 『弱肉強食・転』
第一章3 『人類の敵』
「おい、どうする人間。このままだとお前の友人が食べられるぞ?」
ちくわは笑いながらそう言った。
やはり、ちくわにとっては人間の命などどうでもいいのだろう。
俺がアオイを助けに行こうとした瞬間、ちくわが俺に問いかけた。
「おい、いいのか人間。今お前の姿を見られたらお前はフードモンスターとして処分されるかもしれないんだぞ?」
「いちいちうるせーんだよ、ちくわ野郎!何が言いたいんだよ!!」
ちくわと喧嘩をしてる間に、りんごはどんどんアオイに迫っていく。
「俺の姿は見られても良い!ただ、アオイが死ぬ世界線だけは嫌なんだ!」
そう言って、ハヤトはりんごに向かって走り出し、りんごを蹴り飛ばした。
りんごはハヤトの蹴りを受け、後ろに倒れ込んだ。
「おぉ、すげぇ。これがフードモンスターの力か。人間の頃とはまるで違う」
「おい人間!来るぞ!」
りんごは起き上がって、ハヤトを殴りつけた。
「おぐぅ!」
ハヤトはりんごのパンチを受け、吹き飛ばされた。
ハヤトは道路まで吹き飛ばされ、りんごはハヤトを追ってハヤトに回し蹴りを喰らわせた。
「ふげぇぇ!何すんだよ、この回し蹴りんご野郎!!!」
ハヤトはりんごの足を掴みりんごを転ばせようとするが、逆にりんごが足を振り回してハヤトを上空へ吹き飛ばした。
「うわぁぁぁ!!!」
ハヤトは情けない声を出しながら、上昇し続ける。
りんごは地面を強く踏み、高くジャンプした。
そして、上昇し続けるハヤトの背中にかかと落としを喰らわせ、そのままハヤトは地面に突き落とされた。
「お前弱すぎるだろ、人間。俺の体をまったく使いこなせてないじゃないか」
「うるせーよ。だったらお前が戦ってくれよ、ちくわ野郎」
「何で俺が人間の手助けなんかしてやらなきゃいけないんだ……..?いや、良いだろう。俺が戦い方を教えてやるよ、人間」
ちくわは何かを思いついたようにニヤけ、体の所有権がちくわに渡った。
りんごがちくわに殴りかかった瞬間、ちくわはりんごの両腕を掴み、そのままりんごの両腕を引きちぎった。
「ほら、見てるか人間!これが俺の戦い方だ!はは、俺もまだそこまで戦闘経験は無いが、お前より1000倍は戦うのが上手い!」
ちくわは自慢げに言いながら、りんごの両腕をりんごの両目に刺した。
りんごは両目を潰され、何も出来なくなっている。
ちくわはその隙を狙い、りんごの腹に蹴りを入れ、りんごを吹き飛ばした。
「おかしいな。腹を貫くつもりで蹴ったんだが、やはり俺の体は弱体化しているのか」
りんごは両目と両腕を再生させ、自分の腹を手で貫き、中からりんごの汁のようなものを出した。
そして、りんごはその汁をこちらに飛ばし、その汁がとてつもないスピードでちくわに向かっていく。
「おいおい、液体ってあんなスピードで投げられるのかよ」
ちくわはりんごの予想外の行動に困惑しつつ、そのりんご汁を避けた。
しかし、そのりんご汁は軌道を変え、再びちくわに向かっていく。
「嘘だろ嘘だろ!!液体って操れるのかよ」
ちくわはそのりんご汁を手で受け止めたが、そのりんご汁の威力はかなりのもので、ちくわの胴体に穴を空けた。
「ぐはっ!あのりんごのせいで俺の体に穴が2つ出来ちまったじゃねーか!」
りんごが再びりんご汁を撃ってこようとしてきた瞬間、ちくわは余裕の笑みを浮かべる。
「そっちがその気で来るなら、俺も本気を出してやろう。遊びはここまでだ」
胴体に空いた穴を再生させながらちくわはりんごの方に頭を向け、撃ってきたりんご汁をそのまま飲み込んだ。
「うえっ、まっず」
ちくわは飲み込んだりんご汁を吐き出し、その吐き出したりんご汁がさっきよりも速いスピードでりんごに直撃し、そのままりんごは自分のりんご汁で体が爆散した。
「自分の汁で殺される気分はどうだ?」
ちくわはりんごを煽りながら、そのまま体の所有権をハヤトに渡した。
「どうだ、人間。俺はお前ら人間とは格が違うんだよ」
「あっそ」
ハヤトは興味無さげに返事をし、アオイの方を向く。
「ひぃぃっ!化け物ぉ!近づくなぁ!お前らのせいで、俺の妹が死んだんだぞぉ!死ぬべきなのは妹じゃなくて、お前らの方なのにぃ!」
アオイに近づいた瞬間、アオイは俺から逃げようとした。
当然だ。
俺の体は今、ちくわなのだから。
「おいそこの人間、安心しろ。俺はお前など食う気はない。この人間のエネルギーを常に吸ってるから、人間を食う必要がないんだよ。例えで言うなら、スマホに充電器を常に差しっぱなしの状態って感じだな」
「そ、そんなの信用できるわけないだろ!この化け物め!」
「いちいちうるせぇな〜。殺すぞ!」
「ひぃぃぃ!!!」
アオイは泣きながら逃げて行った。
そりゃ、フードモンスターに妹が食われたんだから、フードモンスターが目の前にいたら逃げるに決まってる。
こんな姿じゃ、ハヤトだと気づいてくれるわけも無いし。
つまり俺は、人類の敵になってしまったというわけだ。
「何だよ、冗談のつもりで言ったのに。悪いなー人間。俺のせいでお前の友人が逃げちまった」
「ふざけんな、クソちくわ野郎!!」
「何だその態度は。言っとくが、俺がいなかったらお前もあの人間も死んでたんだからな?感謝しろよ、人間。あんまり感情的になんなよ?」
気に食わないが、確かにちくわの言う通りだ。
もしもちくわに体の所有権が無かったら、俺もアオイも助からなかった。
もしかしたら、アオイが死んでいた世界線もあったのかもしれない。
「あれれ〜?りんごが出たっていう報告があって来たのに、何で報告に無かったちくわまでいるの〜?まぁいいや。ちくわを殺した後にりんごとちくわも食べよぉ〜っと」
突然、背後から謎の女の声がした。
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