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翔太郎
「判断」
腕には自信があった。たまに上級貴族の息子が箔をつけるために、勝ち戦にわざと出てくることがある。やたらと思い甲冑、細身のロングソードを構えて、最前線に出てきたりするのだ。まあ、あるいは、互いに甲冑をつけず、細身のロングソードで勝負をすれば、私も勝てない技は持っているのかも知れなかった。ただ、ここは、最前線で、傭兵でさえ、安物でも急所だけは、しっかりと守る程度の甲冑はつけている。そんなところに、新品同然の甲冑を着て、ご丁寧に爵位付きで名乗りをあげ、一騎打ちを迫るのだ。
途端に傭兵が5〜6人、飛びかかってきて、取り押さえられる。殺されはしない。人質にして身代金を要求するのだ。箔をつけるだけのために最前線に出てくるとは、見上げた馬鹿だ。
そして、私は5人目の頭部を甲冑ごとへこませた。
あれなら、死んだだろう。
私の剣は、あのふざけた細身のロングソードの3倍の厚みと重さがある。おまけに刃は、最初から潰してあった。
『前線では、剣は相手の甲冑をひたすら叩け、そして隙を見て、甲冑ごと相手の急所を叩くことに全てを込めろ!』
父の教えだった。
女ながらに娘時代から、大柄で力も強かった私に、父はこの重い剣を毎日振らせた。甲冑だけは金を惜しまず、見た目よりもはるかに軽く丈夫なものを作らせてくれた。
そんな父の最後の教えは、『死ぬな』だった。
私は父の唯一の実子で、死ねば、遠縁の貴族の三男坊が領地を継ぐことになる。
私も、それは嫌だった。隣国との戦争が始まって五年が経つ、この戦いは、最後の決戦のひとつと言っていいものだった。
しかし、それほど重要な戦いの割には、どうもこちらが劣勢のようだった。少しずつだが、陣形が乱れ、その隙間に敵の騎馬隊が固まって突撃をかけているのを何度も見た。

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