行きたい場所は大まかに決めるけど、旅のしおりみたいなものは作らないから、行き当たりばったり、なのかなぁ。

拝啓　サンタクロース様

私は今年、プレゼントは不要です。
サンタさんはトナカイさんとともに、一夜にして世界中の子どもたちへプレゼントを配っていると聞きました。私なりに時差を考慮して計算してみたところ、約8時間ですべての子どもたちのもとを巡るためには、移動速度はおよそマッハ6920に達するという結論に至りました。
その速度であれば、ドップラー効果によってトナカイさんの鼻が赤く見える、という話にも、科学的な説明がつくのかもしれません。

ただ、少し気になっていることがあります。
その過酷な旅を、本当に支えているのは、サンタさんだけでしょうか。

暗い夜空を休みなく飛び、寒さと重力と空気抵抗に耐えながら、文句ひとつ言わずソリを引き続けているトナカイさんたち。
彼らの労働時間や休憩時間、適切なエサの支給、そして安全管理は、きちんと確保されているのでしょうか。鼻が赤いのも、単なる目印やドップラー効果ではなく、もしかすると慢性的な過重労働のサインではないか。そんな心配も、少しだけしています。

ですから今年は、私の分のプレゼントをどうか、次世代の小さな子どもたちのために使ってください。そして同時に、トナカイさんたちにも、十分な休養と温かい寝床、そして感謝の気持ちを。

私はもう、欲しいものが「物」だけではなくなりました。誰かが無事に一年を終えられること、支える側がきちんと大切にされていること、
それこそが本当の意味での、豊かさなのだと思っています。とはいえ、ここまでの業務内容を拝見するに、さすがにサンタクロース事務局の労働基準監督署も黙ってはいないのではないでしょうか。
どうか法令遵守と持続可能なクリスマス体制の構築を、前向きにご検討ください。

寒い夜が続きますので、サンタさんも、そして何よりトナカイさんたちも、くれぐれもご自愛ください。来年もまた、誰も無理をしない形で奇跡が続いていることを、心から願っています。

敬具