岸部一徳さん｜アンチョビ山盛りの投稿-GRAVITY(グラビティ) SNS

[読了本📖´-]
『たえまない光の足し算』日比野コレコ

あらすじ
「とび商」それは世界で有名な異形の観光名所に群がりその中で商売し、生計を立てる私たちのこと。この街にはおぞましく、酷く誘惑的な建造物がある湾曲した塔の見た目のそれは無数の目を持ち、唯一を除いて時として同じ配置に来ることは無い。0時になると3つの目が並ぶそれを撮ろうと写真家たちは一斉にシャッターを切る。異形の麓には池がある世間では痛みの感じない場所として多くの人が飛びに来る。そんな日常を生きる「異食の道化師」の私は家を失った夜「抱擁士」とともに過ごすことになり、いつしか「軟派士」も加わり……
鮮烈な現実を生きる人物を描く異彩の現代文学

感想
〇「抱擁士」として働くハグの執念とそれによる現実とのズレが悲しくもあり、やるせなさがあった
〇現実で言うとその日暮らしのような危うい生活を送る人物の懸命な生が良かった
〇『たえまない光の足し算』戦後の闇市のような鬱々とした作風のなかこのタイトルは作品と真逆を走っている。ラストシーン「異食の道化師」はボロボロになり、まともに付きもしない部屋のライトを取り替えるところで終わる。これは「何がいけなかった」「自分は子供だった」「どうしたらこうならずに済んだ」と考える主人公の意思表示のように感じた。家、食事
、電球ポツポツと最低限だけに生への光を灯すのではなく、絶え間なく、継続的に灯して灯してを繰り返し、まともな生活への第1歩としての描写だったのではないだろうか
#学生 #読書 #読了