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【小説家さんを訪ねて３】　#まる婚活
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『ラインが全然出来なかったですけど、お忙しかったんですか？』
「いや…　小説はそんなに忙しくない」
『じゃあ小説以外で？』
「いや…」

そんな感じだ。
私なりに一生懸命に切り込んでも「いや…」で終わってしまう。

しかし話題を小説に戻すと、途端に喋り始める。
最初は確かに新鮮で業界の話題も面白かった。
…だけどそれは最初のうちだけだ。
私は婚活をしに来ている。
彼の業界トークばかりを聞き続けていては、全然婚活が先に進まない。

仕方がないので私は【小説家を目指す友人の話】をすることにした。

私には小説家を目指す友人がいた。
友人は私と違って『小説家に絶対なる！！』と硬い意志を持って出版社に投稿を続けている。
友人は高校生の頃から投稿しており、ずっと書き続けていた。
投稿する出版社を渡り歩いて、彼女は自分を受け入れてくれる出版社を探し続けている。
30代の現在も進行形で、だ。
しかし彼女は結婚した。
結婚したけれども、今も夢は諦めていない。

友人は実際の人物だ。
彼女の話題で『小説』からさりげなく『結婚』に話を移して、彼の婚活に対する気持ちを聞きたかった。

すると彼はこう言った。

「普通はプロになってるでしょ」
言ってる意味が分からなかった。

「その人、実はあんまり書いてないでしょ」

…そっち？
そして彼は首をかしげた。

「俺さ、出来ない人の気持ちって分からないんだよね。
だって作品を普通に書いていればそのうちプロになれるよ。
量をこなせばプロになれるんだよ。
でも高校の頃から頑張って、30代の今でもまだプロになれないって…
その友人さんは努力してないと思う。
やることやってないんだよ」

話題がそっち飛ぶのかーーっ！？
という気持ちと
友人を馬鹿にするんじゃねええ！！
という気持ちが入り交じって無言になる。

確かに友人は努力不足かもしれないが、それを言っていいのは友人自身と、その作品を読んだ人だけだ。

「俺、個性とか才能って何もしなくても滲み出てくるものだと思ってるから。
必要なのは量をこなすこと。努力だよ」

これが真実なのかもしれない。
私も友人も努力不足だから趣味レベルなんだ。

…しかし、聞きたいのはその話ではないんだ。