プライベートカツ丼｜マサコの投稿-GRAVITY(グラビティ) SNS

近所に有名な頑固親父がやってる焼鳥屋があるんですよ｡

ﾌﾟﾚﾊﾌﾞみたいなｵﾝﾎﾞﾛで､ｶｳﾝﾀｰ10席だけの小じんまりとしたお店｡

還暦過ぎの親父と､四十前後の娘の2人だけでやってて､店に入ると舌打ちされるんですよ｡しかも､娘にまで｡

ﾒﾆｭｰは焼鳥のみ｡ｻｲﾄﾞﾒﾆｭｰなんて一切なし｡
十数種類ほどの焼鳥のみ｡

いつでも不機嫌なﾎｰﾙ担当の娘､一丁前にﾀﾚか塩を訊いてくるくせに､注文通りくることはほぼ皆無｡嫌がらせなのかいつも真逆｡
死んでもしないと誓っているのか､返事がないから注文が通っているのか毎回ﾄﾞｷﾄﾞｷ｡
ちょっと遅いからって確認しようものなら､毎度逆ｷﾞﾚ｡待てないなら帰れと言わんばかり｡以後､その客をずっと睨み続ける娘｡
暇さえあればﾀﾊﾞｺをふかしている父娘｡

たまに客と本気の喧嘩が始まったり｡
実は越してきた3年ほど前､嫁とこの娘がﾏｼﾞの言い合いになったことがあって､以降嫁は絶対に行きたがらない｡

だけどね､その焼鳥が本当に美味しいの｡
今までたべた焼鳥の中でもかなり上位｡
近所にあればそりゃ通うわってほど､お店もいつも賑わってて｡
嫁に隠れて､定期的に俺も通ってるほど｡

話はかわって､
長男の同級生でいつも最後までうちで遊んでる男の子｡
週一ﾍﾟｰｽで晩ﾒｼもたべて帰る子がいて｡
あまり詳しくは聞いてなかったけど､一人っ子で親御さんの仕事も毎晩遅くいつもひとりだからと､電話ではお母さんと何度も話したことはあって､いつも礼儀正しく全然気にしないでくださいってやり取りを毎回してて｡

先週うちでまたご飯をたべてった時に､いつものお礼の電話があり嫁が出たんだけど､今週末の日曜にうちでごはんたべませんか?って､我が家の大家族を招待してくれてこちらもそれに応じて｡

勘のいい皆さんならきっともうお気付きですよね?

今日もその子がうちに遊びに来てたから､今度はよろしくね､ところでお母さんは毎晩遅くまでどんなお仕事しているの?って聞いたの｡

｢おじいちゃんと焼鳥屋してるんだ｣

ｿﾞｯとしたよね｡
え?ｳｿでしょ?
あの女がきみの?ﾏｼﾞで?
その家に今度行くの我々?

まだ知っているのは俺だけ｡
嫁に言うべき?
たぶん息子の大親友だよ?

今夜もうちでごはんたべてったあの子を思い出しながら､心臓がまだﾊﾞｸﾊﾞｸしてる｡笑