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サタケ
高校入学したての頃、選択科目の音楽の授業で演奏発表会があり、どんな音楽でもいいから自由に楽曲を選び自由に演奏したり歌ったりして披露するという場があった。各自グループを組むか1人で演奏するかを選ぶ必要があり、友達のいなかった僕は1人でやるか余り者グループでやるかを迫られた。1人よりは楽だろうとのことで、友達のいないはぐれもの男子グループに入った。根暗男子4人衆の誕生である。
ただ当時の僕には思惑があった。
この演奏会を通して我ら根暗男たちのクラス内での冴えない評価を覆してやろうじゃないか、という目論みだ。
幸い、小学校時代にクラリネットを学んでいたという生徒が一人混じっていた。僕も当時下手くそなりに実家にあるピアノは触っていた。
クラリネット1人、ピアノ1人、リズム隊2人という編成で演奏可能な、かっこよくてシンプルな楽曲を探すところから始まった。時間にして3週間ほどの猶予があったように思う。
最初はミッキーマウスマーチなどを推す声もあったが、いやいやそれではクラスをあっと驚かすことはできない。もっとクールで!もっとストイックな楽曲を!
僕の熱心な提案の甲斐あって根暗男たちは無事にテイクファイブを選曲し、放課後に練習を重ねた。
発表の日、みんなが流行りのJ-Popを振り付けしながらカラオケ歌唱を披露し、爆笑と手拍子が巻き起こるなか、僕ら冴えない男4人衆の出番がやってきた。
演奏前、クラスメイトたちの目は冷ややかで、嘲笑すら聞こえた。けれど演奏が始まるとヤジが止み、しんと静まりかえったのをよく覚えている。
してやったり。
僕らの演奏後には拍手喝采が起こり、女子たちからは「かっこいい!」との声まで上がった。
そうなのである。寡黙な僕らに相応しいクールな選曲をしたのである。YES!僕が!選曲!しました!イッツミー!!
この後、根暗男たちはクラス内で少しずつ人気を得て幸せな学生ライフを送った。
僕以外は。
多分自意識過剰だったんだろうネ…。
テイク・ファイブ
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短編映画のようなお話に、気が付いたら口角が上がっていました。サタケさんの文才には頭が上がりません。