地元のマッチングアプリ事情：意外な出会いの場

日記兼短編用のメモ。約1000文字。

1年ぶりくらいのプライベートでの山篭り。
装備は最小限。周辺情報も最小限。
汗もかきたくないし、のんびり寝床を探して歩く。結局汗をかいて川に入る。
川には熊がいた。熊も暑いよね。
タカチホヘビがいた。イノシシもシカもカモシカもいた。イタチは可愛く、アナグマは美味しそうだった。鳥はわからないのも含めて多数、虫はおびただしく、植物はシカなどの食圧に負けずに背丈を伸ばす。
わからない種を同定しようにも図鑑も持たず、スマホもないので調べようが無い。
知識内の植物と、シカが食べていた名もわからぬ草を食べよう。ついでにキノコもいくつか。許可があれば肉も手に入れたいが、今は猟期でもない。
腹痛がコワイが、それ用の葉っぱは手に入れたし、川も近くにある。死なねばよい。

川が流れる谷は街よりも、尾根よりも夜が早い。
燃え広がることの無いように気をつけつつ、川べりで火を起こす。マッチやライターのひとつでも持ってくればよかった。汗をかく。
火が安定したので服を川で洗い、乾かす。
雨は降らなそうだけど、寝る時は折角作ったのでシェルターの下に行こう。てきとうなので背中が少し痛いけど、うつ伏せは口に虫が入るので我慢。秋冬の落ち葉が恋しい。
唯一持ってきたナイフで枝を削って何かしら掘ってみたり、川べりの石とそこらの蔓で役にも立たない槍などを作って時間を潰す。
思考は睡眠の如く、浅くなったり深くなったり、短かったり長かったり、その時々で勝手に進んでいく。
瞼が重くなり始めたので火を一気に燃やす。全て灰になるように。無理な話だがなるべく痕跡は残したくない。
火が消えて、そのまま10分間暗闇に浸かる。目が慣れ、火を避けていた音が戻ってくる。
近くを跳ねているのはウサギだろうか。可愛い姿を見たい思いと、美味しいから捕まえたい想いがせめぎ合う。
少し遠くから何かが川に入る音がする。何かが羽ばたく微かな音がする。何かが枝を踏みしめる音がする。シカかな、フクロウかな、タヌキかな。
少しの恐怖を抱えながら、案外騒がしい森で眠りにつく。

翌朝、目を開けた先には白んだ空がある。鳥も動き始め、四つ足もまた活発な時間だろうか。
昨日作りおいた水を飲み、川に入り目を覚ます。昨日の3分の1くらいの時間で山を降り、人の気配と電波に安堵を覚える。
ただいまと、いってきますと