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ヒルミン

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熱膨張の話①

今回は先日のシミュレーション仮説と同様、これまで私が知らなかった話です。熱膨張は私たちも身の回りでよく経験しているお馴染みの事象です。何でも物体を熱すると膨張しますよね。原理の理解は簡単で熱が与えられた物体はその熱エネルギーを受け取ってそれまで大人しくしていた原子が運動を始めます。熱膨張とは、その運動が激しければ激しいほどこれらの原子が隣接する原子から押しのけられて、原子間の空間が拡げられることによって現れる現象です。

こんなことだから、私は今まで何でも物体は熱膨張するものだと思っていました。ところが鉄とニッケルを一定の割合で組み合わせたインバーと呼ばれる合金は、熱膨張を殆んど起こさないということが、100年以上も前の1895年に既に発見されていたそうです。熱膨張の特性をほとんど持たないインバーは、現在時計や望遠鏡、液化天然ガスの輸送船のタンクなどの用途で使用されているとのことです。私はこんなことは全く知りませんでしたが、このインバーがどうして熱膨張しないのかということも、100年以上もの間解明されていませんでした。

このほど、カリフォルニア工科大学の材料科学者であるブレント・フルツ氏らの研究チームが、インバーが熱膨張を起こさない原理について解明しました。フルツ氏らの研究チームは、熱膨張自体はどんな物体にも存在する特性なので、インバーの場合、膨張を打ち消す現象も同時に起こっている筈だと見当を付け、その要素として磁性に着目しました。そこで磁性と原子の振動の両方を測定できる実験装置を用いて、インバーの原子振動と、温度を上げたときの電子のスピン状態を観察しました。

すると、温度が低いときは、インバー内で同じスピン状態を共有する電子が多くなり、反発しあうことで原子を外側に押しやる力が働きます。一方で、温度を上げると、一部の電子のスピン状態が反転するようになりました。その結果、電子は隣の電子と反発しあうことはなくなり、電子同士が寄り添うことで収縮するようになります。そして、温度が上がるにつれて、インバーの原子は振動が大きくなって膨張を始めます。しかし、インバーにおける収縮と膨張が微妙なバランスで発生することで、結果的にインバーの大きさが変化することがないということが分かったのです。
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