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みおこんぼ
自宅で寛ぎ中にピンポンが鳴り、モニターに映し出されたKの姿に、驚きながらも招き入れる。「あれ、私今日コンサート誘われてたっけ?」嫌な予感がする。私は意外と忘れやすい人間なのだ。「いや…」と、頭を指さすK。改めてKの頭を見て「あ!」と思い出した。
「あれだ、散髪の日!」嬉しそうに、Kが頷く。
Kの散髪を引き受けるようになったのは、かなり前だったと思う。ある夏の日、突然「このバリカンで…」と、家にバリカンを持ってKがやってきた。
「いや、美容院行ったほうが…」と、指摘すると「ジリジリするから、無理」と意味不明なことを言う。「そもそも、今まではどうしてたの?」と問うと、酷く苦い顔をするK。ああ、と察して「とりあえず一息つこうか」とお茶をいれた。
あの日から、Kの散髪を手伝うようになったのだ。
Kの髪は、かなり分厚い。そして天使の輪ができるほどツヤツヤで、漆黒。羨ましいな、と思いながらいつものようにバリカンを滑らせる。綺麗な髪がバサバサと落ちていく。
Kは所謂絶壁頭だった。つむじからストンと、丸みがない形をしているのが嫌だそうで、上の方は敢えてボリュームを持たせて、丸みを作る。「お客さん、もみあげはどうしますか?」と聞くと、「揉んどいてください」と返ってくる。これはKが好む、2ちゃんねるで有名な台詞らしい。もはや定番のやりとりだ。
最後に、前髪をハサミで切る。この時、Kは暴れる。「額が…ジリジリする!」と額に手を当てて抵抗するので「覚悟を決めて」と言う。Kいわく、額になにか近付くと額がジリジリしてきて、たえられなくなるそうだ。なんだそれ。
なんとか切り終わると、掃除機で生き別れになった髪の毛を吸っていく。この時、Kは心底嬉しそうに、満足そうに何度も頷く。赤ベコのように、何度も。悔しいけど、その姿はなんか可愛い。
散髪が終わると、何かのチケットを差し出してくる。「そろそろ熟睡したいから」と一言付け加えられる。チケットをよく見ると、以前Kのいびきが最高にうるさかったやつだと気付く。「やっぱりさ、未来ある子どもたちの奏でる音は、聴きたいよね!」とKが笑う。いやだからいつも寝てるじゃん。
無茶苦茶だけど、おそらく私はKとの、意味不明な時間が好きかもしれないというお話。
#友人Kシリーズ
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謎のほのぼの関係ですね😊
あーり
凄い素敵な関係😆💕 小説読んでる気分になりました✨❤️
PAPERCRANE
みおこんぼさんの周りには小説に出てくるようなキャラクターが多いですね! もうこのやりとり読んでるだけで、ちょっとした小説の一節かと思ってしまう。 でも、コンサートで熟睡は良いのですが、イビキはさすがに迷惑なので注意してあげて下さい。ってそんなことは分かってそうですね。
みおこんぼ 投稿者
そう、だからいつも私が一緒に行くのです[大泣き] Kの話、一応もうひとつあって、くわしくはそっちに載せてますが、ほんとね、世話が焼けます[ほほえむ]