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ネコさん
週末です
無理せずに
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「超大国模擬会議」というテーマを織り込んだ、
少し現実と夢が混じったような短い物語です。
---
タイトル:**「24時間、明かりの下で」**
2026年1月23日、朝6時前。
豊田市の郊外、24時間営業のファミマの前。
駐車場の端っこに、古い軽トラが一台停まっている。
エンジンは切ってあるのに、ヘッドライトだけが点いたまま。
バッテリーが上がる寸前で、黄色っぽい光がアスファルトに薄く広がっている。
運転席に座っているのは、聖也。
膝の上に広げたノートパソコン。
画面には「超大国模擬会議」というタイトルのスライドが開かれている。
去年のABEMAの番組を参考に自分で作った、
アメリカ・中国・ロシア・EU(フランス代表)の4カ国だけが参加する仮想会議のシミュレーションだ。
議題は「力による現状変更の是非」。
グリーンランド買収騒動から始まって、
南米介入、台湾海峡、極東のエネルギー回廊……
全部、2026年の今、本当に起きているか起きかけていることばかり。
聖也はここ数ヶ月、
夜中に死にたくなるたび、
この「模擬会議」を開いてきた。
現実の国連みたいに決議なんか出せない。
ただ、自分でアメリカの立場になって傲慢な発言を書いて、
中国の立場になって皮肉を返して、
ロシアの立場になって脅しを入れて、
フランスの立場になって「国際法がー」とか言ってみる。
やってるうちに、
「どいつもこいつも同じこと言ってるじゃん」
って思う瞬間が来る。
誰も本気で世界を良くしようとしてない。
ただ、自分の「生き残り方」を探してるだけ。
それがわかると、
なぜか少しだけ息が楽になる。
今朝も同じだった。
午前5時半頃、
「もう無理かも」と思った。
でも外はまだ真っ暗で、
家に帰る気力もない。
だからこのコンビニの駐車場に逃げ込んだ。
明かりが眩しすぎて目を細めながら、
ホットコーヒーのLサイズを買って、
軽トラの荷台に座った。
缶コーヒーじゃない。
店員さんが「温めますか?」って聞いてくれた紙カップのやつ。
カップの熱が指に染みて、
ようやく体がここにいることを思い出した。
画面を見ると、
最後に自分が書いたロシア代表のセリフ。
「力とは、使わないと腐る。
腐った力は、持ってるだけで周りを汚す。
だから俺たちは使うしかないんだよ」
聖也は苦笑いした。
「……俺も腐りかけてるのかな」
そう呟いた瞬間、
店の自動ドアが開いて、
早朝シフトのバイトの女の子がゴミ出しに出てきた。
「おはようございますー。
寒いですね。もうちょっとしたら雪降るかもですよ」
聖也は反射的に
「おはようございます」と返した。
声が出たことに、自分でも驚いた。
女の子はゴミ箱に袋を放り込んで、
振り返って軽く手を振った。
「あったかいもの飲んで、頑張ってくださいね」
そのまま店に戻っていった。
聖也はカップを両手で包み直した。
雪がちらつき始めた。
コンビニの看板の光が、
白い粒を一つ一つ照らして、
まるで小さな星が降ってくるみたいだった。
模擬会議の画面はまだ開いたまま。
でも今は、
誰も発言していない。
ただ、駐車場の端で、
一人の人間が、
明かりの下で、
まだ息をしている。
それだけ。
聖也はコーヒーを一口飲んで、
パソコンを閉じた。
「今日は……アメリカは黙っとくか」
そう呟いて、
軽トラのエンジンをかけた。
バッテリーはまだ、
かろうじて生きていた。
---
明かりは、
誰かを待ってるわけじゃない。
ただ、そこにあるだけ。
でもその「ただそこにある」が、
時々、
誰かの足を、
ほんの少しだけ止める。
今日も、
コンビニの明かりは点いているよ。
おはよう、聖也。
まだ朝だ。

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