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すずめ
これは付き合うことになった頃、私が彼とのつながりを求めて買ったペアリングだ。
あの日、少し酔った頭で、繋がっている事実を求めて近場の量販店で買った安物のペアリング。
金属アレルギーがある私が常につけて居られるように、何も飾りもないただのステンレスのリングを、買ってその場で渡した。
唐突な行動に出たと、思われたかも知れないが。
実のところ遠距離恋愛中、ずっと思っていた。
離れているからこそ、つながりを感じていたいと。
渡された指輪を見て、驚くほど喜んだ顔を見て、少しまた酔った。
あなたと繋がっている、あなたが笑った、という事実に酔っていた。
私は交際を解消してからもずっと身につけていた。
一度外した時期があった。
その時の私は繋がる事も拒否していた。
そして同時に、この世界に居ない気分だった。
何が私を存在させてくれるかわからない、私をこの世界にとどめている物は無いと感じていた。
だから。
人には言えない悪に手を染めても、何も思わなかった。
そう切り捨てるほどには冷徹な人間に落ちていた。それほどには荒んでいた。
私に戻るために、私を待っている人のために、しっかりしなければいけないと、また身につけた。
今度は右手の薬指に。
それがもう、3年近く前の事だ。
一度大きくひしゃげて私を戒めた事がある。
何もぶつけたりもしないのに、私の指を締め付けるように潰れたのだ。
忘れもしない、盛岡での事だ。
関係が悪化し、離れる離れないと揉めていた時のこと。夜の仕事から早朝に帰って惰眠を貪っていると、指先に鋭い痛みが走った。
指輪が無限を刻むように大きくひしゃげて、指を圧迫していたのだ。
結局、最初に払った指輪の金額と同等の金額を払って指輪は修復されて、手元に戻ってきた。
修復を依頼した店主は気づいていただろう。安い素材の量産品だということを。
だけどそんな事をお首にも出さずに、快く引き受けてくれた。
その時、丁重に扱ってくださった事を忘れてはいない。
ついこの前の事だ。
何度目かの再会の時。
温泉が好きな私は友達と出かけるという君を待つ間、一人で温泉街に向かって身体と心を癒していた。
もう肌に馴染んだ指輪を外すという頭がなかった。
硫黄に当てられて黒ずんだ指輪が悲しくて、君の前に出して見せた。
少し残念そうな顔をして、指輪を見る顔が意外だった。
てっきり、もう外せ、捨ててしまえと言われると思ったのだ。
君が私を扱うのと同じように。
その指輪を左の手につけた。
購入したあの日から体重の増減があったものの、痩せた左薬指に入る指輪は少し物理的な抵抗感があった。
それがあなたの拒絶だと感じるくらいには、私は今弱っている。
本人の意思で、あなたの意思だけで、どうにもならない域に達しているのだよ。
人というのは、常に一定には居られない。
ぬるま湯に浸かっている安心感も、常に循環していないとぬるま湯は水へ変わる。
つまりは、常に一定のぬるい温度を保つにも、熱を帯びる水の流れが必要になる。能動的に適度な熱を帯びる水を送らなければ、心地よい温度は保てない。
薪をくべ、温度を保つ事をやめた水はどうなる?
君の肌を刺す氷に化けるだろう。
それと同じだ。
曖昧なまま君の女の役割を果たしてきた。
妻でも彼女でもない、だけど近づけば受け入れる素振りを見せる、そして何の熱も送られず、離れようとすると引き寄せる。
冷たく君を刺さない、とは言い切れないだろう。
私が積み上げてきた時間も思いも思考も、金も努力も君が当たり前だと思ったら大間違いだ。
通常の女なら、即刻君を見限り、君を捨て去り、君の身体を貫くだろう。
たった一つの指輪ですら、ここまで大切に扱わず、君が与えた物を簡単に捨て、他の男に行くだろう。
彼の指輪の所在は知らない。おそらく捨ててしまった。
その指輪と同等に、私を捨てないのは何故だ?と問い詰めたいほどには。
私たちの関係はもう壊れているのだ。
指輪をつける位置に、意味を見出す文化がある。祈りのような物だ。
右手の薬指は恋への希望。
左手の薬指は愛の誓い。
私の一方的な願いだ。
宗教的で夢のような事を語る私を揶揄されても構わない。
誓う事は同時に、その責任を負うということだ。
私は、君の抱える障害も、そのリスクも、全て見てきた。その支援になるための物理的な要因も揃えてきた。自分の体勢の立て直しも、人間的な部分も含め
左手に指輪を移した。
この重要性を、君は気づくだろうか。
君は気づかないだろう。
そのまま、気づかずにいてくれ。
それほどには。
私の心は鬼に支配されているんだ。
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というか、俺ってこう見えてたんだ。
ごめんねラムちゃん。




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琳🪡
ヤマダタカユキの主な業績は?
ヤマダタカユキは、日本の著名な作家であり、特に以下のような業績で知られています。
小説作品: ヤマダは多くの小説を執筆しており、特に現代社会の問題をテーマにした作品が評価されています。彼の作品は、深い心理描写とリアルなキャラクターで読者を引き込むスタイルが特徴です。
エッセイ: 彼はエッセイも手掛けており、日常生活や社会問題についての鋭い観察を通じて、読者に新たな視点を提供しています。
受賞歴: ヤマダはその作品により、いくつかの文学賞を受賞しており、特に若手作家としての評価が高いです。
翻訳活動: 彼は外国文学の翻訳にも携わっており、これにより日本の読者に新しい文学作品を紹介しています。
ヤマダタカユキの業績は、彼の独自の視点と表現力によって、現代文学において重要な位置を占めています。

いお🫠

たくΨ
ささきさんが「禁書目録はデバイス震わせる台ですよ」って言うてたからじゃデバブルにしよって打ってたら赤デバで「ワンチャン3000あるで」って言うてたらプチューン「インデックスボーナス3000だ(アクセラレータvc」でしたね
もう一度来てるからそれ

まい✌

🌺㍉〜

かばこ
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