最近なぜかカップルと話す機会が多くてその度に心を削られている

【結婚相談所のおばちゃんに生で会う１】

実はおばちゃんに会うのは初めてだった。

これまでのおばちゃんとのやりとり、入会手続きは全てオンライン上でのことだった。
おばちゃんとはオンライン通話でしか喋ったことがなかったのだ。

だから「初めまして」とおばちゃんは言った。

水臭いよ、おばちゃん。
あんだけぶっちゃけて喋ってきたのにさ。
『…これ、道中で買ったつまらないものですが』
おばちゃんに菓子折りを差し出す。
すぐそこで買えるもので申し訳ない。

するとおばちゃんはニッコリと笑った。
「あら～　ありがとう。
　私ね、こういうの断らないタイプだから。
　喜んで貰っちゃうわ～」
そう真っ直ぐ受け取って貰えるのであれば私も嬉しい。

相談所の中に案内される。
それからお茶を頂きながら、他の成婚者のお話を沢山聞かせてもらった。

「この三連休は成婚ブーム来てるわよ！
　本格的に寒くなってきて、みんなクリスマスやお正月を視野に入れて頑張って行動してるってことよね～」

『寒くなると活動的になるんですか？』
「なんかねぇ～　心も寒くなるのかしらね～　寄り添ってあったかくなりたい願望があるのかしらねぇ」

それはまた可愛い話ですね。

『ところで、ずっと気になっていることがあるのですが…』
「なあに？」
『以前から、私とのお見合いを組み損ねたまま、ずっと保留になっている方がいるんですけど…　彼はどうなったんでしょう？』

保留になっている方とは、以前ちらっと話題に出した『世界をまたにかけるアスリート』のことだった。

今年の夏、お坊さん４連星からの申し込みがあった時、一緒に考えていた『世界をまたにかけるアスリート』さん。

しかし世界をまたにかけすぎて音信不通になったらしく、そのままお見合いが保留状態になった。

「ふふっ」
おばちゃんは笑い声をあげた。

「彼ねぇ～　恋、しちゃったんだって」
『恋ですか？』

「旅先で同じ日本人女性と出会って、意気投合して、ライン交換しちゃったんだって～
　相手は彼を友達としか思ってないみたいなんだけど、彼は片思いしちゃったんだって～
　いきなりよ～
　【彼女への恋心に決着が着くまではお見合いは無しに…！】って」

…それは素晴らしい。
聞いて私も嬉しくなった。

おばちゃんは笑った。

#まる婚活