大人しく捕まってその証として受け入ればいいだけなんだけど……なんか……ちがくて……

充分な調査が必要で、なるべくならば自分の都合に合わせて行きたい場所といえば、そう病院だ。

血圧の高い私は、2ヶ月に一度は病院に行く義務を負っている。
こちらに引っ越してからは一度も行けていないため、目が覚めた瞬間に今日行くと決めた。
朝から入念に近くの病院を調べ上げる。
徒歩圏内で、遅くまで営業していて、なるべくなら日曜もやっていて、人の少ないところがなるべくなら良いのだが、全てが揃うことはまずない。

キミにきめた！！

正午を過ぎた頃、小さな声でそう呟き、日が暮れるのを待った。

やがて空は赤く染まり、退勤の頃合いとなる。
一目散に事務所に別れを告げ、車へと乗り込む。
すでにカバンは助手席にある。
夕方からずっとそこに待たせていたのだ。
素晴らしいと自分を褒めてまずは自宅へ帰り着替える。

イヤホンで耳を塞ぎ病院まで10分ほど歩いた。
見たこともないほど汚い文字を問診票に並べて受付を終え、診察を待った。

名前を呼ばれ、診察室へと入る。
そこには優しそうな女医がいた。

普段の血圧を問われた。
少し低目に申告する。
いつ計測しているか聞かれる。
週に一度程度で、サボタージュしがちだと大袈裟に返答した。

毎日計測してくれと、優しく指導された。

朝起きて、トイレに行ってから、測ってください。それが公式の測り方です。

それが、公式、オフィシャルなんですね。
私が答える。

はい、オフィシャルはトイレに行ってから、測ることです。

女医はオフィシャルという言葉が気に入ったようで、念仏のようにオフィシャルオフィシャルと唱えていた。
いくらか楽しい心持ちになった。

診察後開放的になった私が食したラーメンがこちらです。