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おじさん

おじさん


夕暮れ時、彼は窓から見える空の色に感動していた。まるで私たちの未来を祝福しているかのようだ。私は茜色に染まる彼の隣に立ち、そっと彼の手に触れる。彼は微笑み、私を見つめながら「この景色、ずっと忘れないよ」と言った。その声は優しく、私はこの幸せな瞬間が永遠に続くのだと信じていた。
​しかし、夜が深まるにつれて、窓の外は漆黒の闇に包まれていく。私はぼんやりと窓の外を見ていた。ふと、そこに何かが映った気がした。それは、ぼんやりとした人影のようだ。まさか、と目をこすったが、そこにはっきりと、こちらを見つめる男の顔があった。彼は笑っている。私たちが日中、手を繋いで歩いた場所で、同じように微笑んでいる。
​私は震えながら彼を呼んだが、彼は私の方を見ようとしない。ただ、窓の外をじっと見つめている。彼の瞳には、何が映っているのだろう。私は彼の視線の先を追った。窓ガラスに映る私の顔の隣に、彼の顔があった。しかし、彼は笑っていない。いや、口は微笑んでいるが、その瞳は、まるで憎しみと恐怖に満ちている。
​私は恐る恐る彼の顔を見た。彼の瞳は、窓に映る私を貫くように見つめている。そして、私の背後から冷たい気配がした。そこに立っていたのは、あの窓の外にいた男だった。彼は、ゆっくりと窓に近づいていく。そして、窓ガラスに映る彼の顔に、その男の顔が重なった。窓の外の彼は、いつの間にか消えていた。残ったのは、ただ、窓ガラスに映る、血まみれの彼と、包丁を握る私だけだった。
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