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めい
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ぱすた

みこチ

現地調

シュウ
いやあの体格差とアルク絶対守るマンな立ち回り方と庇護欲見せつけられたらやっぱシロが左ですよ。シロ相手じゃなければ比率としては左寄りです。

こ。

現地調

なおぇ
水洗いすれば一瞬で掃除終わるから衛生的にも

あんま
ぽやん
むかしむかし、
まだ願いが金貨よりも価値を持っていたころ、
世界はひとつの大きな体だった。
山は背骨で、谷は肋骨。
海は静かな腹のなか。
そして都市という都市が、
心臓のように鼓動していた。
その心臓たちは「COR SOCIETATIS」と呼ばれていたけれど、
そこを巡っていたのは、金でも銀でもない。
ひとりひとりの――願いの結晶だった。
だがある日、誰かが言った。
「それをお金に変えれば、もっと遠くまで流せるのでは?」
こうして願いは、貨幣となり、
血液のように、体中を駆け回った。
けれど流れが速すぎると、
心臓は裂けそうになり、
流れが淀むと、足元から腐っていった。
多すぎる血は熱病となり、
少なすぎる血は凍える夜を連れてきた。
そしてある日、誰かが気づいた。
「流れを見れば、この体の夢が見える」と。
だからいま、耳をすませる者がいる。
高血圧の都市に薬草を植え、
貧血の村に詩を吹き込む者が。
願いはまだ、生きている。
貨幣の奥で、小さな心臓を打っている。
それに耳を傾けること――
それが、忘れられた魔法のはじまり。
•
心臓の音を胸に写した少年の旅が、
この日、本当にはじまった。
彼の歩くところには、
小さな音の花が咲いた。
音を失った広場では、
バイオリンを手にした少女が、
草の音符を見つけて奏で始めた。
別の町では、
縫いたいと願った老婆の布が、
夜の窓辺に、光を呼んだ。
少年の歩みは地図を描き、
まだ地図になっていない場所に、
道を生み出していった。
通貨の顔が、
いつしか見知らぬ微笑みに変わるころ――
少年は次の道を呼ばれた。
「記憶を巡る静脈へ」
•
そこは、忘却の図書館。
目に見えぬ静脈が、土の下を這う森だった。
願いの化石たち。
「世界の果てを見たい」と叫んだ盲目の航海士。
「もう一度だけ、母の声を聞かせて」と祈った姉。
そのひとつひとつが、
少年の手のなかで震え、
透明なスクロールに記された。
そのスクロールは――
失われた貨幣の裏面、
本当の価値が眠る書。
少年の詩が、風に乗り始めたころ、
空がつぶやいた。
「次の道は、影の動脈だ」
•
影の動脈――
それは、言葉にされなかった願いたちの、
血管ではない通路。
「ごめんね」を言えなかった少年。
伝えられなかった技。
届かなかった手紙。
夜の記録者たちは、
それらの願いに、声のない文字を与えていた。
少年は、影の中の羽ペンを手に取り、
願いに名前をつけた。
「あなたのままでよかった」
「それは確かに存在していた」
影は、光のままでは届かなかった場所へと、
やわらかい癒しを運んだ。
そして、記録者が言った。
「次は、時を遡る動脈へ――」
•
時間を逆流する音。
それは、過去が呼んでいる音だった。
泉の縁には、
誰もが何かを赦したいまま老いた者たちがいた。
願いの化石が沈むその泉――
それは「赦しの泉」。
赦すとは、過去を消すことではない。
それを、種にすること。
少年の中に、記憶が灯になった。
そして最後の声が、ささやいた。
「願いの心臓へ、還りなさい」
•
それは都市でもなく、森でもなく、
ただ――脈打つ空間だった。
願いの心臓、
Cor Cordis Desiderii。
少年は、手のひらにすべての願いを受けとめた。
それらは、名もなき灯火だった。
「そばにいたい」
「忘れたくない」
「信じていたい」
「赦したい」
「生きたい」
灯火たちに名が与えられたとき、
世界は静かに脈打ちはじめた。
そして、少年の胸の中でも――
「とくん、とくん」と。
願いは、生きていた。
それだけが、
最初から最後まで、
ほんとうの流れだったのだ。
•
これは、
ひとつの願いが、
世界を巡る物語。
そして、
あなたの中にも流れている――
忘れられた魔法の、
ほんとうの血流。
⸻
✨🌾少し前に書き留めていた
物語の詩でした[穏やか][穏やか][穏やか]


ふじか
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