尻滅裂｜いにしの投稿-GRAVITY(グラビティ) SNS

【運営が初心者のエセ婚活パーティーに出会いはあるのか？　11】#まる婚活

『お、お、あ、ああ、あたし？？』

婚活パーティーのフリータイムで、女子が話しかけたのは私だった。

「うん」
『あ、あた、あた、あたし？？』

仰天しすぎて言葉が出ない。
心の準備が出来ていなかった。

彼女は私の腕を引っ張って、部屋の隅に移動する。

「…大丈夫？」

彼女は優しく聞いてきた。
『はえ！？　何が！？』
この状況がもう大丈夫じゃない。

「こんな所で婚活してちゃ駄目だよ」
『…え？』

サバサバした外見の彼女であったが、私が小心者だと気付くが否や、優しく話しかけてきた。
相手を見て臨機応変に対応できる、頭の良い優しい女性のようだった。

先ほどの胡散臭い男と違う、親身な優しさを感じる話し方だった。

「私はお父さんが昔、仕事でフミちゃんのお世話になったから、義理で仕方なくここに登録しているの。
別に彼氏を作ろうと思えばマッチングアプリを使うから、こんなところを頼る必要もないし…」

確かに彼女は、私と違ってしっかりした女性に思えた。
モゴモゴとモジモジとした私と違って、シュッとしてサバサバしていた。

もしも彼女が「彼氏は自分で探すわ」と言ったら、そつなく有言実行できそうな感じがあった。

「今は仕事が楽しいから、あんまり結婚も考えてないの。
私は無理せず、結婚したい時に、結婚したいと思った相手と結ばれるのが理想だと思っているから」

『…』

「あなた、結婚したいって気持ちがあるからここにいるんだと思うけど…　もしもそうなら、ここは辞めた方がいいよ」

・・・あ、姐さん…！

つい口を滑らせて、そう呼びそうであった。

彼女は親切心で、見ず知らずの私にわざわざzこえをかけて、アドバイスまでしてくれている…！　良い人だった！

そこから彼女と少し話をした。
手持ち無沙汰になった男達からの視線を浴びるが、それでも小さな声で女性２人は話し続ける。

彼女は「今は仕事が楽しい」と言う。

女の価値は結婚じゃないし、結婚は本来、好きになった人とするものだ、と。

「間違っても結婚がしたいから誰でも良いなんて思っちゃいけない」と。
「この結婚相談所はテキトーだから辞めた方が良い」と。

芯の強い、素敵な女性であった。
きっと職場でも頼りにされる人なんだろうなと感じた。