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村山サイ

村山サイ

この物語は


「ここに書かれたものはフィクションであり、実際、それらが現実的でない事は明らかである」


ガラス張りの部屋に半日、春先だと言うのに日差しが真夏のように降り注いでは、干上がってしまいそうな身体を刺し続けている。
どこかの屋上に連れてこられたらしく、助けを呼ぼうにも1番近く感じるのは力強く輝き放つ太陽系の中心であるそれ、もしくは金星だが目視する事は難しく、金星人にとってもそれは同様だろう。
私が置かれた状況の説明は以上だが、一つヒントを与えるように貼り付けられた紙に書かれた文章を声に出す。
「ここに書かれたものはフィクションであり、実際、それらが現実的で無い事は明らかである」
この文章に私をここに閉じ込めた人物の思惑が隠れている、そう考えた私は体感にして1時間あまり思考をめぐらせてみたものの、これと言った発見は無かったが、日差しは変わらず私に降り注いで来ていた。
照り付ける日差しは暑く、身体中は沸き立つように熱く、外界と中を隔てるガラスは突き破るには厚く、同音異義にて突きつけられた現実は私の精神を蝕んでいくのがわかった。
「………せめて水があれば…」
私は我慢出来ずに欲望を口にしてみた、するとどうだろう床に置いて思考をめぐらせていた先の紙切れの上にポツンと重しのように水が注がれたコップが置かれていた。
そんな異質な状況を目撃しているはずの私の脳は、正常な判断が行えるほど余裕はなく、その水の入ったコップに手を伸ばしては震える手でそれを掴み、口へと運ぶ。
確かに水だ、軟水硬水の区別など私には分からないが水道水らしい、少しぬるい水は身体へと染み込むように身体の流れていく。
そして、飲み干したコップを元通り紙切れの上に置くと瞬きをする一瞬の隙にどこかへと消えていった。
そして私は今になってこんな異質な現象について考え出し、試しにもう一度水が欲しいと呟いてみたり、飲料として思い付くものを呟いてみたが、再びコップが現れる事は無かった。
望んだものが一度だけ現れる、そんな現象が有り得るのだろうか、しかし、現にさっきの水はどこから現れて、どこへ消えたのだろうか。
答えのない疑問が頭をめぐらせていく中でも陰ることも傾く事もなく照りつける日差しは私の中にある不安めいたものを突きつける。
『この部屋の主は、地獄の延長をしたのだ』と
それから何時間経ったのか、記憶は曖昧かつ
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