エネルギーの無駄遣い？妬みからの解放法

【婚活パーティーに友人と行く10】#まる婚活

助手席で寝ている友人を起こさないようにしながら、ひたすら車を走らせ続ける。

途中、雨の高速道路に冷や汗が止まらなかった。雨天も重なり、早くも日が暮れていて、前方を睨みながらハンドルを握り続けた。

それでも友人は全然起きなかった。
どれだけ疲れてたんだ。
…いや、婚活パーティーになんか連れ出して、どれだけ疲れさせてしまったんだろう。

申し訳ない気持ちを引きずりながらも、車は友人の家の前に停まった。
辺りは暗くなりつつあった。

『夕方だけど、おはようさん』

「…え？」
友人が気が付くと、車は友人宅前だった。
それにびっくりする友人。

「あ、あたし、寝ちゃってた！？　ご、ごめん！！」
『いいよいいよ、お疲れだったんだね』
「いやもう本当にごめんね！？　運転大変だったよね！？」
『いいっていいって』

本当は大変だった。
別に運転が好きなわけでも、得意なわけでもないので、悪天候の運転は歯を食いしばってハンドルにしがみついていた。
でも、そんなことを言ってもどうしようもないので軽く流す。

「あ、あの…　本当に、ありがとう！！」

私は、この友人のこういう所が大好きだ。
ちゃんと正面から、しっかりと「ありがとう」を伝えてくれる。

運転が得意じゃないことも知っていて、全て織り込んで想像して「ありがとう」を言ってくれる。

「まるちゃん、誰ともカップリングしなかったのに…　こんなにしてくれて…」
そこは織り込んで想像しなくていい。

『大丈夫だよ。私さ、明日はお見合いがあるんだよね。実はそっちが本命だから！』

お見合いがあるのは本当だけど、そこまで期待しているのかと言われると分からなかった。
正直に言って、強がった返事だった。

「ありがとう」

友人のその言葉はどこまで見透かしての返事なのか、時々わからなくなる。

「その明日の人とうまくいくと良いね」
『そっちこそ、今日の人とうまくいくと良いね』

しかし、
友人は翌日から男性の返信が全く来なくなり、その先の予定が決まらないままで…

私に関しては、翌日にお見合いした男性から「思ってた女性と違った！もっと大人しい女性がいいです！」という理由で、即日すごい勢いでフラれることになるのだが…

この時のお互いはまだ知るよしもないのであった。

おわり