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「神様」川上弘美

デビュー作「神様」を含む短編集
不思議で少し切ない夢のようなお話


「花野」が良かった
 亡くなった叔父が 何度かふと現れては 少しだけ話して帰っていく
残された方は(出来ることならもう一度会いたい、話したい)と思ってしまうものだけれど、旅立った人は段々と生きていた頃の【関心を寄せていたものや好きだった食べ物の味】などの感覚が薄れていってしまい切ない


「星の光は昔の光」
 3人家族の男の子、父は不在がちで母は人間不信。その子の「昔の光はあったかいけど、今はもうないものの光でしょ。いくら昔の光が届いてもその光は終わった光なんだ。だから、ぼくは泣いたのさ」…に こちらも泣きそうになる


「神様」
 「くまにさそわれて散歩に出る。」…から始まる話。何かの例えでは無く本物のくま
「くまは、雄の成熟したくまで、だからとても大きい。三つ隣の305号室に、つい最近越してきた。」
このくまがとても紳士的。読みながら(こんなくまとお付き合いしてみたいなぁ)と淡い恋心を抱いた。なので最後に収録された「草上の昼寝」(これにも このくまが出てくる)のラストが切なかった


9つの短編のうち「離さない」だけが異色
小さな人魚が出てくるのだけれどホラー寄り


とても好きな世界観で
きっと何度も再読したくなりそうな予感

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