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あまねくあまね

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食後、私たちはそのまま流れた。

ここは描写しない。
描写しない方が、事実の輪郭が鋭くなることがある。

ただ、観測者として一つだけ書いておく。

この「流れ」と言うのは境界線における“デカいイベント”に見える。
でもこの物語の構造では、それは突然の爆発ではない。

唐揚げ一個。
鍋の決定権。
家への圧。
私の提案の却下。
ラーメンの主語消失。
一口ちょうだい。

小さな当然が積み上がった先に、
大きな当然が置かれる。

それだけだ。

私は当時、それを「進展」と呼びたかった。
進展、と名付けると安心できるからだ。

でも観測者の私は、別の単語をメモしている。

侵入。

侵入は、ロマンの顔をする。
侵入は、外食の湯気に隠れる。
侵入は、主語が消えたところに発生する。
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エリー

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あい

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好き!!!
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【連続GRAVITY小説】
〜Gravity-Link〜第二章

第十九話:泥の中の蓮、沈黙の雪原

【 深夜 / 音声通話の闇の中で 】
 「……ごめんなさい、あきっくすさん」
 イヤホン越しに漏れるきびの声は、ルームで見せる鈴を転がすような響きとは似ても似つかない、掠れた、今にも消え入りそうなものだった。
 彼女は、堰を切ったように話し始めた。幼い頃から周囲の期待を読み取り、「理想の娘」「理想の友人」を演じ続けてきたこと。ルームという場所が、最初は救いだったはずなのに、いつの間にか「きび」という完璧な偶像を維持するための、息の詰まる舞台になってしまったこと。
「『カナタ』として毒を吐いている時だけ、自分が生きている実感が持てたの。でも、そうすればするほど、みんなが大好きって言ってくれる『きび』が嘘つきに思えて……自分が、汚い泥の中に沈んでいくみたいで」
 あきっくすは、彼女の呼吸が落ち着くのをじっと待ってから、静かに言葉を返した。
「きびさん。泥の中に咲く蓮(はす)の花を知っていますか? 泥があるからこそ、あの花は美しく咲くんです。あなたの毒も、あなたの弱さも、すべてが『あなた』という一輪の花を形作っている。……僕は、カナタとしてのあなたも、このルームに必要な存在だと思っています」
 通話の向こうで、小さく息を呑む音がした。あきっくすは続けた。
「無理に笑う必要はありません。ここでは、あなたのままでいてください」
【 翌朝 / 凍りついた会津 】
 窓の外は、夜の間に降り積もった雪で真っ白だった。
 まぁずは、冷え切った部屋でスマホを握りしめたまま、昨夜見つけた「裏アカウント」の画面を閉じることもできずにいた。
『死にたい』『全部嘘』
 
 その短い単語が、直売会での彼女の笑顔と重なり、不協和音となって脳内をかき乱す。
 ルームを開くと、いつものようにメンバーが挨拶を交わしている。きびもまた、何事もなかったかのように「おはよー!今日も頑張ろうね!」と弾けるようなスタンプを送っていた。
(……これも、嘘なのか?)
 いつもなら真っ先に「今日も元気だね、きびさん!」と返す指が、ピクリとも動かない。
 まぁずは一言も発さぬまま、スマホをベッドに放り投げた。彼女を信じたい自分と、裏切られたと感じる自分。その狭間で、彼の恋心は急速に体温を失っていった。
【 忍び寄る「異変」 】
 ルームの異変に、ゆかりは誰よりも早く気づいた。
 まぁずからの事務連絡が途絶え、ルームでの彼の発言もゼロ。そして、あきっくすときびの間に流れる、言葉にはできない「変化」。
 ゆかりはあきっくすに、事務的な口調を装ってDMを送る。
『あきっくすさん。まぁずさんの様子が少し気になります。発送リストの確認も滞っているようで……。それから、きびさんのログ、何かが吹っ切れたような、でも危うい感じがします。何か、私の知らないことが起きているのでしょうか?』
 管理側のパートナーとして、そして一人の女性として、ゆかりの直感は鋭く核心を突いていた。
 あきっくすが返信に窮していると、さらに別の通知が割り込む。
 それは、欠席を続けているぽちからの、悲痛な叫びだった。
『助けて、あきっくすさん。……本当のことを言いたいのに、言えないんです。私が直売会に行けなかったのは……』
 きびの告白。まぁずの沈黙。ゆかりの疑念。そしてぽちのSOS。
 あきっくすのルームは、かつてない激流に飲み込まれようとしていた。
(つづく)

#連続GRAVITY小説
#第19話
#誰か男性キャスト欲しいなー
#きびの本音
#storysong

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