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ニワトリ🐣
ここじゃないどこか、ずっとずっと遠くに行きたかった。水族館の水槽みたいに、仮初の深海のような深くて狭い箱に、僕は閉じ込められている。ずっと、海に焦がれているんだ。
かつて大海原を自由に泳いでいたはずなのに、今となっては水槽の、ぬるい海水の中を泳いでいる。ぬるいはずなのに、どこか海より冷たく感じるのは気のせいじゃない。きっと、ここはどの海よりもいちばん冷たくて仕方ない場所なんだ。
そんな場所に、ある日1人の青年が現れた。やつは水槽の壁に手をつけ僕に向かってぱくぱくと小刻みに口を動かす。毎度、同じ動きで。3回目の来訪あたりから僕もよく観察するようになって、気づく。あぁ、やつは歌っているのだ。明るくも暗くもない、柔らかい表情で語りかけるように歌っている。7度目の来訪からか、僕にはやつの歌声が聞こえるようになった。
開園して早朝。いつもなら夕方にくるはずなのに、その日は朝一番で水槽の前に来た。
「勇魚」やつは僕をそう呼ぶ。人間が付けた鯨の古い名のことを指すらしい。やつは歌っている時以外は案外おしゃべりで、そういうことを少しずつ教えてくれる。
「珍しいな」
朝に来るのは、と重い口を開け、初めて僕はやつに語りかけた。
「驚いた、お前、喋れるのか」
腰が抜けたような阿呆ヅラを晒しながらも嬉しそうにするそいつをみて、僕は悟った。
「なんだ、もうここを離れるのか」
「ああ、遠くから来ていたんだ。もう帰らなくては」
そうか。
「勇魚、君の歌を聴いたよ」
「だからここまで来た。君の歌を聞きたくて」
そうか。
「僕は小さな人間で君は大きな鯨だ」
そうだな。と前駆を少しうつむけて返事をする。
「でもな、勇魚よく聴いてくれ」
わかっている。と、誰にも聞こえないように。そっと、僕は歌い出す。
「僕たちには歌がある。ここで別れても、生きていればまた会える。必ずまた会いに来る。だから、その日まで歌っていておくれよ。歌だけが僕らを繋ぐ原点だ」
鯨はないていた。
遠く、遠くまで、海のずっとずっと向こう側、その果てまで届くように、鯨は鳴いていた。
勇魚君のために歌をうたったよ。
遠くから来たんだ。君もそうだろ?
これは僕の歌だよ。僕を好きな君の歌だよ。
勇魚君の歌を聴いたよ。
遠くから来たんだ、君もそうだろ?
勇魚
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🌸ゆき💕

椿
音に合わせて演じて踊る私は
運命の糸から いつ 解放されるの?
可愛い 女の子
綺麗な女の子
褒められる度に嬉しくて頑張っちゃうの。
でも、少しでも傷がついたら
私はいらない子?
あなたの望む子になりたくて苦しくて。それでも 踊り続ける私は心のない マリオネット。
声に合わせて 強ばる体から私はいつ 解放されるの?
優しい女の子
自慢の女の子
褒められる度にわからなくなっちゃうの。
あれ、私は今何を考えてるっけ?
あなたの望む子になりたかったけど痛くて逃げ出す私は
期待はずれのできない子。
本当の私はとっくに壊れてる
弱いとこは誰にも見せないの
だって……。
「あなたは 人形なんかじゃないよ」
差し出される手を拒めない私はずるい子、悪い子。
それでも あなたの優しい声に
私は人間に戻れる気がしたの。

メップルシロップ


ムチムチコ
破ってくる友達にもイラるし
教室でキャッチボールしてうちが座ってる机に
当たってんのに謝りもしないクソ男子にもイラる
人間ってなんでそんなに図々しいの?
あと2ヶ月の我慢我慢…

こはる
なーんかねーか
ブクロのアニメイトでヲタを観察に行くか?

oqyama
ここ数ヶ月の間に描いた絵と
何かの広告と
絵葉書と
死んだ( ᜊ°-° )ᜊ父を撮影した写真と
仏壇と
動かない古時計と、
いろんなもので埋め尽くされてて、
多分1個1個には意味があるので、
でも、全部がいやになって破棄してしまう時もある。


ひよりん

ノレッ
何かコメントください。
内容はなんでも良いよぅ。
上手いこと返事します。
※システムがよくわかんなかったらコメント欄をササッと読んでみてね[ほっとする]
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す🐟

小鳥遊

ゆ〜ち
これは行くしか無いやん。

あがめ

ゆづか
仕事向きの顔じゃないから仕事用のリップは別途必要

白雨戸

価値な
眠れそうにない。

多賀@広

まよ

のん
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ニワトリ🐣 投稿者
巨大な鯨の遺骨の前で、足繁く通い、死ぬまで歌い続けた老人がいた。 その老人が死ぬ寸前、海のずっとずっと奥から、鯨の鳴き声が遠くこだましていたと、彼を看取ったものたちは口々にしていた。