なんかさ（ハンドルを切る）ここがこうなってるなら、こっちってこうなんですよ（ハンドルを切る）　じゃ（崖からダイブする）

🍂こ〜ちゃん風とろとろ煮の夕暮れ
夕方、窓の外が少しずつオレンジ色に染まりはじめた。庭の木々も赤や黄色に色づいて、秋の入り口らしい穏やかな空気が流れている。昼間はまだ少し汗ばむほどだけれど、朝夕になると風が冷たくなり、こ〜ちゃんの台所にも、そろそろ温かい湯気の似合う季節がやってきた。
「さて、今日はとろとろ煮にしようか」そうつぶやきながら冷凍庫を開けると、以前フードプロセッサーでひき肉にしておいた“豚こまミンチ”が、きちんと袋に分けて入っていた。安い豚こまを工夫して使うのも、こ〜ちゃんの得意技だ。
厚揚げを一口大に切り、ごま油を熱したフライパンに並べると、じゅうっと音がして香ばしい香りが広がる。続けて、解凍したひき肉を加えて炒める。肉の色が変わりはじめたころ、しょうがの香りがふわっと立ちのぼった。
「これだよ、これ。秋になるとこの香りが恋しくなるんだ」そう言いながら、調味料を加えて木べらでゆっくり混ぜていく。酒、しょうゆ、砂糖――湯気の向こうで甘じょっぱい香りが部屋いっぱいに広がる。
やがて水溶き片栗粉を加えると、厚揚げとひき肉がやさしくとろみをまとい、照りが出てくる。その艶を見ているだけで、もう体がぽかぽかしてくるようだった。
「今日のごはん、なんかいい匂い〜！」部屋の奥から子どもの声がする。「ふふ、今夜はあったまるやつだぞ。食べたらきっとほっぺた落ちるかもな」
器に盛って、刻みねぎをぱらり。その瞬間、ふんわり湯気が立ちのぼり、台所に小さな幸せの灯りがともったようだった。
窓の外では、風が紅葉を揺らしている。まだ白い息が出るほどではないけれど、季節は確かに次の扉を開こうとしている――。
そんな秋の夕暮れ、こ〜ちゃんの台所には、やさしい香りと家族の笑顔が満ちていた。

🍲 材料
• 豚ひき肉：100g
• 厚揚げ：1枚（160g）
• 細ねぎ（刻み）：適量
• ごま油：大さじ1
☆調味料
• 酒：大さじ1
• 砂糖：大さじ1
• しょうゆ：大さじ2
• おろししょうが：小さじ1
• 水：50cc
水溶き片栗粉
• 片栗粉：大さじ1/2
• 水：大さじ1
🍳 作り方（手順）
1. 厚揚げは一口大に切る。
2. フライパンにごま油を入れて熱し、豚ひき肉を入れて中火で色が変わるまで炒める。厚揚げを加えて2〜3分炒める。
3. ☆の調味料を加え、混ぜながら炒める。
4. 水溶き片栗粉を加えて混ぜ、とろみをつける。器に盛り、細ねぎをちらして完成。