店を閉めて帰った翌日、常連のお客様が帰り道で亡くなったことを知った。

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ぬーらぼ　

2025/07/08

店を閉めて帰った翌日、常連のお客様が帰り道で亡くなったことを知った。
嬢たちはしばらくメンタルを崩し、僕自身も取り返しのつかないことをしてしまったような気持ちにとらわれ、まともな精神状態ではいられなかったと思う。

その方がキープしていたボトルを片付ける気になれず、気づけば一年近く棚に置いたままになっていた。

ある日、いつものように棚のボトルを磨いているとき、ふとそのボトルに目をやってこうつぶやいた。

「そろそろ、片付けてもいいかな」

手に取って戻し、次のボトルの磨きに手を伸ばした瞬間だった。
店内が突然真っ暗になり、同時にガラスが割れるような大きな破裂音が響いた。

パニックになりかけの店内をライターで照らしブレーカーを確認し、明かりを戻して店内へ戻ると、床が濡れ、ウイスキーの香りが漂っていた。
見ると、例のボトルが、まるで外側から握り潰されたように、粉々に砕けていた。

棚から落ちたわけでも、何かがぶつかったわけでもない。ただ、そこにあった瓶が、跡形を少し残して砕けていた。

理由は、わからない。
でもあの場にいた全員が、きっと同じことを思ったはずだ。

—— まだ来てくれていたんだ。
片付けるって言ったから、怒ったんだな。って。

#怖い話 #怖くない話