俺の町にはうんこすくいしか無かった…やってもいいか？

ふんわり、じんわり——こ〜ちゃんの朝ごパン物語

「朝の匂いって、なんでこんなに懐かしいんだろうねぇ」

まだ空が青く染まる前、56歳のこ〜ちゃんは台所でぽつりとつぶやいた。家族が夢の中にいる頃、彼は義理の娘“ママ”と、かわいい孫のために、こねこねとパン作りに精を出していた。

「今日は、ふわっふわの食パンで、びっくりさせてやろう」

材料をそっと並べ、ボウルに強力粉、砂糖、イーストをふわっと入れ、木べらでくるくる。そこへぬるま湯と塩をすっと加えると、「ぺたぺた」とした音が広がる。生地を台に出して“ぐっ、ぐっ”と力を込めてこねていくと、手にまとわりついていた感触が、次第に「もっちり」へと変わっていく。

やがて表面がつるんとしたら、今度はバターを「ぬりぬり」混ぜ込んで、さらに“ぐいっ、ぺたん”。生地はふわんと丸くなり、まるで赤ちゃんのほっぺのよう。

「おやすみなさい」と声をかけて、ラップをふんわりかけ、陽だまりで一次発酵。1時間後、ぷっくりと膨らんだ生地を見て「がんばったな〜」とこ〜ちゃんもにっこり。

打ち粉をふわっとまき、生地を台にのせてやさしく「ポンポン」とガス抜き。3等分してころころ丸め、ラップをかけて10分休憩。めん棒でくるりと伸ばし、くるくる巻いたら型に仲良く並べる。40分の二次発酵で、まるで三兄弟のようにぷっくり。

オーブンを「ピッ」と予熱し、焼き温度を190℃に。焼き始めると、「パチパチ」「ふくらふくら」と幸せな音が広がり、部屋中に香ばしい香りが漂う。焼き上がったパンを「トンッ」と落として蒸気を逃し、仕上げにバターを「とろ〜り」。

「こ〜ちゃん、パンのにおい〜！」

孫が眠たそうにキッチンへ。後ろからママも「わあ、手ごね？」と驚く。こ〜ちゃんは得意げに笑い、「手間はかかったけど、みんなの“おいしい”が聞けたら、朝から100点満点さ」。

焼きたてパンと笑顔が並ぶ朝の食卓。一口かじれば「ふわっ、もちっ、じんわり」。今日もまた、こ〜ちゃんのパンが、家族の心をやさしく包んでくれるのだった

材料
* 強力粉 250g
* 砂糖大さじ1
* ドライイースト小さじ2
* 塩小さじ1/2
* 水 170cc
* 無塩バター 20g
仕上げ用
* 無塩バター 10g
型用
* サラダ油適量