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あげは
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こ〜ちゃん🌱
「やっぱり、ぴったりのサイズじゃないとイヤなのよ」
そう言って、妻がほほえみながら僕に頼んできたのは、本棚だった。
市販のものでも、安くて手頃なものはたくさんある。けれど、我が家の壁の幅、高さ、そして奥行きにぴったり収まるものは、そうそう見つからない。
「だったら作ってみようか」
僕はそう答えていた。自然と。
週末、工具を確認し、ホームセンターへと足を運ぶ。木材を一本一本、丁寧に選び、家に戻ってパソコンで設計図を引いた。ミリ単位で寸法を合わせることに、少しの緊張と、どこか懐かしさがあった。
電動サンダーに、ドリルドライバー。
今、作業台に並ぶ道具の中に、15年以上も前にこの世を去った父が使っていた工具が混じっている。僕の手には馴染んだドライバーと、少し重たいもう一つのドライバー。
それは、父が母のために棚や踏み台を作っていた時に使っていたものだ。
あの頃の父の背中を、子供だった僕は台所の隅からじっと見ていた。母が「ここにもう一段あったら便利よね」とつぶやいた言葉を聞き逃さず、父はすぐに寸法を測り、古い設計図のようなものを紙の切れ端に描いていた。
ネジを打ち込むたび、削りカスが舞い上がるたび、僕の中に父の記憶がよみがえる。あの無骨だけど優しい手。時間はたっぷりかかっていたけれど、母はいつも嬉しそうだった。そして、完成した棚の前で、父が少し照れながら「できたぞ」と言っていたあの顔を、僕は今も忘れられない。
そんな父の工具を使いながら、今、僕は妻のために本棚を作っている。
同じように、言葉少なに、でも気持ちを込めて。
木の手触り、ネジを打ち込む音、紙やすりの粉の匂い。
それらすべてが、父から受け継いだやさしさの記憶と重なる。
完成した本棚を、妻が「わあ、ぴったり!」と笑ってくれたとき、僕は思った。
こうやって、思いやりやぬくもりは、世代を越えて、道具とともに受け継がれていくのだと。
誰かを思って何かを作る手は、時代が変わっても変わらない。
その手が紡ぐやさしさは、静かに、確かに、家族の中を巡っている。









チャン

ららく
グラサン三姉妹、シャメルとエルは呼び捨てなのにココ様だけ様付け
いや分からん、物心ついた時からそうだった

雪海🏢

シュレ

ららく

えみ

アナ

ららく

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