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ひろ
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第二十九話:恋の共鳴、重なるマイク
2026/01/17
夜 21:00 私の音声ルームと、隣のルーム
今夜、私のルームの掲示板は、ある「合同企画」の話題で持ちきりだった。
それは、やざわさんが自分のルームにもちこさんをゲストとして招いたカラオケ大会だ。昨夜、葵さんの書き込みを見てモヤモヤしていたはずのやざわさんだったけれど、今はもちこさんの天然な明るさに救われているようだった。
「やざわさん、この曲知ってる? いっしょに歌お!」
もちこさんの無邪気な声に、やざわさんが「もちこさんのためなら、喜んで練習しますよ」と、デレデレした声で返すのが聞こえてくる。二人の間に流れるピンク色の空気に、見守るリスナーたちからも冷やかしのスタンプが飛んでいた。
私のルームでは、そんな二人を中継しながら、けーぞーさんが豪快に笑っていた。
「あきさん、見てよあの二人。やざわさん、完全に鼻の下が伸びてるじゃない!」
いつもの明るいけーぞーさんだ。でも、ふとした拍子に「……いいわね、ああやって素直になれるって」と、ポツリと独り言をこぼしたのを、私は聞き逃さなかった。まとめ役の彼女も、本当は誰かに甘えたい夜があるのかもしれない。
そんな中、葵(あおい)さんときびさんが揃って私のルームに入ってきた。
昨夜、二人きりで「歌」を共有した私ときびさん。そして、それを隠れて聴いていた葵さん。本来ならギクシャクしてもおかしくない二人なのに、掲示板で約束した通り、今は「女子会」のように仲良く談笑している。
何を話しているのかは分からないけれど、二人であきっくすという一人の「男」を品定めしているような、不思議な迫力があった。
やざわさんの恋。けーぞーさんの本音。そして、葵さんときびさんの秘密。
私が作ったこの場所で、みんなが自由に、そして必死に誰かと繋がろうとしている。
私はマイクを静かにオフにして、熱を帯びていくルームの音に耳を傾けていた。
(つづく)
#連続GRAVITY小説
#第29話
#本当に合同企画やってみたら?
#今日もっと執筆しようと思ってたのに
#storysong

渚のはいから人魚
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