共感で繋がるSNS
GRAVITY(グラビティ) SNS

投稿

原田美穂子

原田美穂子

蟹工船を読了した。グロテスクには我慢できるが、臭い汚いには耐性がないため、終始腐った匂いのする狭い空間に閉じ込められている感覚が辛かった。
野戦病院で傷口にウジが湧く兵士は、戦場にいたからだと納得出来る。しかし蟹工船はどうだ。仕事である。どこか遠くの戦場ではない。ある意味でただの漁師である。にも関わらず、戦場にいた。暴力を振るわれ、病にかかり、ろくに手当もされずほおって置かれる。死んだら最後、簀巻きにして冷たい海の中に蹴り入れられた。
ゾッとした。あってはならないことだと思いながら、私の好物は蟹だった。今ではないと分かっていても、海の上で死ぬ思いで、死と引き換えに取ってきた蟹なのではないかと思ってしまう。
北海道にいながら、いや、北海道にいるからこそ目に浮かぶ。古い港の築港と名の付く町には、そこらに盛土がある。その盛土には蛸壷で死んだ漁師たちが埋められているのだ。もう美しい海と古びた石造りの街並みを、どこか物悲しげだと思っていた頃には戻れないだろう。
GRAVITY
GRAVITY22
話題の投稿をみつける
関連検索ワード

蟹工船を読了した。グロテスクには我慢できるが、臭い汚いには耐性がないため、終始腐った匂いのする狭い空間に閉じ込められている感覚が辛かった。