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ナカムラ

ナカムラ

楽しい時間はあっという間で、退屈な時間はいつ終わるとも知れない。だから時間は伸び縮みしている。
こんなふうに相対性理論を誤解しているのだから、距離。距離は一定のはずだ、と思っている。ほとんど、信じている。しかし、仕事へ向かう道のりは遠く、逆に、帰り途は短すぎて、やりたくもない寄り道をしなければ帰れない。道中、お酒の一、二杯は飲んで無理やり勢いをつけていかなければ、門扉はとても、くぐれません。
たとえば、波平をみよ。かれはたいていの場合、そこらで一杯ひっかけなければ帰れない。なぜか。わたしの独断によれば、かれは素面のまま家に帰ることが恐ろしくてたまらないのだ。
帰り途には、お魚くわえたドラ猫を追っかけて素足で駆けてゆくような、愉快な世界は存在しない。ただただアスファルトに舗装された暗い道が延々と続いている上、猫のようにどこまでも伸びてゆくものと違い、どっしりと不動だにしない家は、あまりに距離が近過ぎるのだ。さらに、前者が徹頭徹尾「行く」ことの愉快さを描いていることに対し、後者の「帰る」惨めさについては決して描かれない。当たり前だ。サザエさんは来るべき月曜日へ「進む」心構えを説く番組であって、過去へ気持ちが「戻る」ための番組ではないからだ。
……あるいは、波平の耳にはずっとこんな古い歌が聴こえていたのかもしれない。

とおりゃんせ とおりゃんせ
いきはよいよいかえりは怖い
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