院生の壁：学生時代の切ない恋愛物語

10年前学部生から院生になろうかという時期、数ヶ月だけ付き合った5つ年上の当時すでに医療系の社会人だった女性との話

別れた理由は私が院生であるということもあり、生きてる世界が違うような気がしたと。しっくりこなかったと。

私も今思えば彼女のそれは凄く正しい判断だったと思っている。確かにお互いのことを知らなさすぎて、感覚が違いすぎて、しんどくなっていた。

30歳が間近な彼女はいろいろなライフイベントを考えると待っていられないとも言っていた。今思えばこれも正しい。

そんなこんなで傷心の中院生に。

院生になって研究、就活があった。慌ただしかった。学問どころじゃない。
ブラック企業でのパワハラ、周りはいい人たちだがスキルミスマッチでどうにもならない、コロナ禍での残業禁止とボーナスカット、氷河期に美味しい思いをしたことが忘れられず給料をダンピングしてまともな人が取れず詰んでる会社、…色んなことを経験した。

4度の転職を経て、そこそこの給料をもらえるようになり、まともな職場ということもあり、ようやく暮らし向きも落ち着いた。
10年の歳月が経っていた。

同年代の知人が結婚などでどんどん疎遠になり、ぼくも婚活なるものも覗いては見たが、とてもじゃないが結婚のためにゼロから相手を知ろうとする気力はなかった。これなら独身でいいかなとそんなことを思っている。

知人の結婚式で久々にリアルで顔を見た。近況を少し話した。思いの外肩の力も入らず、話せた。

彼女もまた10年間独身でいた。自分の年収は彼女を超えてて10年という歳月を感じた。

このごろはお互いに気軽に誘える独身の友人も少なくなり、年末の夜にはちょっとおしゃれな店で食事をして、近況を話した。

ここから私はどうなっていくのか、どうしていくほうがいいのか。
彼女の額に少し増えたしわがやけに愛おしいと。そんな感情を抱いてしまい困惑している自分がいる。肩の力を抜いて話せる友人になり果てたと思っていたのに。
また彼女を少し意識している自分がいて、また一方で今のまま肩の力のはいらない独身仲間の友人としていたほうがいいのではと思う自分もいる。

いい年して悩むようなことではないのか、いい年だからこそ悩むことなのか。

年末年始って色々あるもんだねえ。