：スナック探訪記 - 驚きの出会い編

さて、いいお店であり、いいママでした。

扉を開けると、ママがびっくりしてました…最近お店がヒマだったのかもしれません。とりあえず生ビールを注文しました。

今から開栓作業です。それだけお客さんが少ないのか…私は一瞬悪いイメージが頭に浮かびました…まずい古い生ビールを。でも私は出されたビールは飲み切ります。
覚悟をしていたら、とても美味しい生ビールでした。

なんだろう、私は体験無しの「決めつけ」というのが人生を楽しめない人の証だといつも思っているのに、この場面で自分が決めつけていました…。

いっぱいお話しました。それだけママに歴史がありました。

コロナ騒動前に旦那さんは大腸ガンが見つかって、あっという間に亡くなられたそうです。2020年のことです。
その後、コロナ騒動でお店が大変になり、ようやく落ち着いてきた最近、お店もヤバく感じて、旦那さんがいなくなったことを寂しく感じるようになったそうです。

でも、全然暗くないお話でした。それはママが基本楽天的だからだと思われます。お子さんが３人いらっしゃるということで、私は何の考えもなしに、

「お孫さんは？」
「それがいないの」

とても悲しそうな顔をされたので、今後は相手が話さない限り、血縁関係の話は聞かないと固く決心しました。

近所の大島周辺、昔はたくさんあった飲み屋が軒並み無くなったそうです。裏通りにあるのはここともう１軒とのこと。
確かに、赤ちょうちんがポツンとあったので、私が心ひかれました。

「もうやめようかなって最近は毎日思っているの。でもこれでもここしか来ないってお客さんもいて、その人たちはもう年だから、わたしがやめたら行くところ無くなるだろうから、その人たちが生きている限りはガンバろうかな、その人たち、言っちゃわるいけどいつ死んでもおかしくない人ばっかりだし…」

私はすぐトイレに行って、もれた涙をふきました。今日、私は美味しい生ビールを頑張って８杯飲みました。