清澄の森に響く、時の音｜GRAVITY(グラビティ) SNS

清澄

神々しい深い光に導かれ
私は青い香りの中に立っている

風や光華を慈しみ凜と佇む杉の木立

自然を堪能し、また自然に
還ろうとする朽ちた倒木

新芽を携えた趣のある切り株

でんと胡座をかき腰を据えた
大小取り取りの岩

其れだけでも奥床しく
風情を添えている、がしかし
好奇心旺盛な苔達に見初められた瞬間

きりりとした勇ましさを放ちつつも
とても優しく見守ってくれる木立

わくわくが止まらない
秘密基地にぴったりの朽木

寛ぎながら御喋りするには
持って来いの温かみのある切り株

ちょっと堅物だけど
とっても頼り甲斐がある岩へと一変する

正しく居心地の良さが住み処となり
共存が癒しを生み
苔生す憩いの場へと遷移する

水が立つ薫りに誘われて歩み行くと
なんとも清しい光景が目に映る

涼やかに揺(あゆ)く水草や
清らかな水に洗われ
丸みを帯びた石は
一体何を思うのだろうか…

それが知りたくて小川の淵に蹲み込み
せせらぐ優しい歌声に耳を澄ませてみる

そっと水に触れると爽やかな冷たさが
手を繋ごうと纏い付く

何故か心が温かくなり
私も繋ぎ返そうと試みる

そんな時何処からともなく
風が一つ通り過ぎて行く

木霊の溜め息なのか其れとも
悪戯好きな風が躍り出たのか…

間も無くすると初夏の雨が
顔を覗かせ、至る所に
さらりと舞い落ち
常磐から濡葉へと
鮮緑(さみどり)を変容する

雨水にぷるんと包み込まれた苔は
満面の笑みを浮かべ
泳ぐ様に自由に体を伸ばし
心行くまで至福を愉悦している

若葉や苔の放つ吐息が
水分を含んだ空気と交じり合い
万緑が静かに華やぎ
豊かな透明感を醸し出し
得も言われぬ世界を描き出す

大いなる大地の懐に抱かれ
目の前に広がる命の安らぎを感じ
息衝く事の尊さに気付く

素直な気持ちを閉じ込め過ぎると
甘える事も弱さを見せる事も
どんどん難しくなっていく

自然が有りの儘に流れて行く様に
ふわりと心を解放すれば自ずと
安らぎに包まれる日々がやって来る

瑞々しい感情が沸き立ち
深い呼吸を取り戻す

何処までも自由な心が歩き出す
明日を照らす光と共に…

🌸🌙