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あき
議員秘書の頃、反社系からのクレームに対する窓口を一手に引き受けていました。先輩方から、
「絶対に1人では相手のテリトリーに行くな」
と言われていましたが、私は1人で相手の事務所に行きました。自分たちの事務所では絶対に血を流すことはないと読んでいたので。
ある事務所に1人で出向き、話はおさまり、親分がお酒を飲み始めました。私にもすすめられましたが、当時は玄米菜食をしており、お酒も全く飲みませんでした。子分たちが、親分のお酒を断わった私に対して、大騒ぎし始めましたが、私は、
「皆さんにも、絶対にゆずられない意地があると思います。私は肉を食べない、お酒を飲まないってのが意地なのです。これを破ると私が私で無くなるのです。」
親分の方がいたく感心して、私を気に入ってくれました。その流れで子分たちもおとなしくなりました。酔っ払って上機嫌になった親分は、
「あきさん、気に入った。ちょっと見せたいモノがあるから一緒に来てくれないか。すぐ近くだから」
そうして、親分と2人で事務所を出ました。行った場所はすぐ近くのマンション。この時の私は、
反社の事務所から出たこと、
しかも密室で親分と2人きり、
いつも気をつけていたことが、“親分に気に入られている”ということで、すとんと抜けていました…。
親分はタンスから日本刀を出しました。鞘から抜き、銀色の刀身が。
「本物の日本刀だ。見たことあるか?」
「電気消してくれ。その方がきれいだから」
電気を消して、薄明かりの中、刀身が青白く光っていました。たしかに美しいって思いました。が、親分が、それまで威厳のあった言葉が無くなり、
「どうだ、きれいだろ、
本物だぞ、人斬れるんだぞ、」
青白く光る刀身に心が奪われてしまったかのよう…後年、映画『ロード·オブ·ザ·リング』を観た時、指輪を眺めるゴラムのシーンで、“あっ、あの時の親分だ!”って思いました。
私はその瞬間、自分のいる状況のヤバさに気づき、足が震え始めました。親分に背中を見せたら、バッサリいかれると思った私は後ずさりしながら、電気を点けました。
「なんだ!」
と怒鳴られはしましたが、電気を点けると親分は元の威厳が戻りました。
何事もなく帰ることができました。
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あき 投稿者
どれだけお酒をすすめられても、断固として断っていたのですが、あの日、老夫婦とは缶ビールを飲みました。 以後、それまでの「私」は死んで、 新たなビール好きな「私」に生まれ変わったように思います。
柑橘の香水勧められた人
!!!!! 怖いですね。 いや、本当に怖かったです。。。
柚子胡椒
怖すぎます。。。 かなりビビりました。 あきさんが生きてるって知ってるのに。。