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あまね☔︎
内容とかキャラが好みなものしか読まないのはもちろんとして
読んでる一番の理由が実はお相手役がヤンデレもしくはヤンデレに準ずるくらいには嫉妬深くて独占欲強いからなんですよね
後は主人公を好きになれるかどうかです
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自分語り乙

b5
雨が降っていた。
九頭龍亭ののれんは水を含み、重たく揺れている。屋根を打つ音が、一定の速さで続いていた。速くもなく、遅くもない。終わりを急がない雨だった。
原田ナギは戸を開け、畳に足を置いた。白髪の老人が二人、向かい合うには十分すぎる静けさがあった。
「こんにちは、アキヒトさん」
「おう。指そうぜ」
それだけでよかった。
盤はすでに置かれている。駒は黒く、文字が沈んで見えた。二人とも和服だった。余計な色はない。
別室で、雨音に混じる声がした。
「……本格的に降ってきましたねえ」
「……そうですね」
一拍。
「……あの人には、もう時間がないんです」
返事はなかった。
駒が動く。
トン。
また一つ。
トン。
時計は見ない。数も数えない。将棋は、ここでは形だけを保っていた。
雨が強くなる。屋根の音が太くなる。
ナギは一度だけ、相手の顔を見る。視線は盤に落ちたまま、遠くを見ている目だった。過去でも未来でもない、途中の目。
駒音が続く。
トン。
トン。
やがて、空気が変わった。説明できない変化だったが、二人とも同時に理解した。
「……まだだ」
「……はい」
それ以上は、いらない。
雨が一瞬、細くなる。
次の手で、終わる。
アキヒトの指が止まり、置かれる音が軽くなる。
ナギの手が応じる。
トン。
しばらくして、静かな声。
「……そこまでだな」
「……負けました」
駒には触れない。
アキヒトが、わずかに笑った。
「……楽しかったな」
ナギはうなずく。
「……はい」
「もう一局――」
言葉は続かなかった。
盤はそのまま残された。勝った形のまま、終わった形のまま。
襖が開く。
「……勝ちましたか?」
「……はい」
「そう……」
襖が閉じる。
雨音だけが戻る。
のれんが揺れ、盤があり、駒がある。
遠くで、子どもの笑い声がした。
ナギは目を閉じる。
勝ちも、悔しさもなかった。
ただ、指した。
それだけが、ここに残った。
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