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しん

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夜の真ん中で

夜が更けきる一歩手前の静けさが、部屋に満ちている。
一週間のちょうど真ん中あたりにある夜は、始まりの勢いも終わりの緩みもなく、ただ淡々と今日を閉じようとする。外気は重く、冬の匂いだけが、これから荒れそうな天気を静かに知らせている。

やるべきことは終えたはずなのに、心は何度も立ち止まる。書き上げた文章の行間に、もう触れられない可能性を探してしまう。これから訪れる場面を思い浮かべては、言葉はきちんと立ち上がるだろうか、問いの前で黙り込まないだろうかと、不安が形を持ちはじめる。待つ時間は何もしなくていいはずなのに、思考だけが忙しい。

眠りに向かうには少し早く、起きているには少し遅い。日付が変わる前のこの時間は、不安をそのまま浮かせておく場所のようだ。先のことを考えすぎていると分かっていながら、未来を手放すことはできない。

それでも、生活は続いていく。
明日の予定を確認し、少し厚手の服を手前に出し、窓の鍵を確かめる。週末にかけて天気が崩れるかもしれないという予感を抱えながら、それでもいつも通りの準備をする。結果とは無関係な小さな動作が、心をゆっくり現在へ引き戻してくれる。

「もう少し、あと少し」と心の中でつぶやく。それは自分を追い立てるための言葉ではなく、不安を抱えたままでも日常に戻ってこられると、確かめるための言葉だ。

遠くで季節が動く気配がする。
まだ冷えは強く、冬は簡単には退かない。それでも今夜は静かで、日付はまだ変わらない。不安は確かにここにあるが、それと並んで、生活を続けている自分も確かにここにいる。

その二つを抱え、ぼくはまた夜をやり過ごす。
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