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志孝村嶋

志孝村嶋

〜いたずら書き?〜
夜の底に沈んだ街は、まるで息を潜めていた。
一度だけ鳴ったスマホの通知が、部屋の静けさを細く裂く。

「今夜、会える?」

それだけ。
名前も、挨拶も、気遣いもない。
それなのに彼のメッセージを見るたび、胸の奥で微かな灯りが揺れる。
期待なんてしなければ楽なのに、身体が先に反応してしまう。

彼の部屋に行くと、照明はいつも半端に暗い。
互いの顔をちゃんと見るほどでもなく、隠すほどでもない光。
触れられると、簡単に心がほどけていく。
まるで、愛されているように錯覚できるから。

でも彼は、終わったあとに何も言わない。
髪を撫でるでもなく、腕を引き寄せるでもなく、
「そろそろ帰る?」と、淡々と聞くだけ。
その声の中に、好きの欠片を探す。
いつも見つからないのに、諦めきれない。

帰り道、夜風が首筋に触れた瞬間、温度差がこたえる。
さっきまで傍にいたはずの誰かが、急に遠い。
まるで彼ごと、夢から覚めてしまったようで。

本当に愛されているなら、
こんなに帰り道が寒いはずがないのに。

でも、彼に会えるとなれば、また行ってしまう。
呼ばれたら嬉しいし、抱かれたら愛だと思ってしまう。
自分でも分かっている。
身体を求められているだけだと。
それでも心が追いつけない。

「好きって言ってよ」と言えないまま、
彼の手の中で温もりだけを繋ぎ止める。

愛されている証が欲しい。
でも、差し出されるのはいつも、
温度だけで、言葉ではない。

その小さな温度にすがってしまう自分が、
いちばん嫌いで、いちばん哀しい。

それでも次の通知が来たら、
きっとまた心が揺れるのだろう。

まるで彼に、
“愛の存在しない場所に咲く花”みたいに扱われていると知りながら。
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センチメンタル・キス

汐れいら

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