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佐藤拓

佐藤拓

いくつになっても人の欲望を見せつけられるのって辛いね。
この歳になってもそれを目の当たりにした自分が消化することって難しいね。

もう30年も前の話。とある寒い日の思い出。

その日は母の退勤時間が18:00までの日。なので夕食のスタートが遅くなることら我々3兄弟は周知のとおり。

のにも関わらず、母親は19:30過ぎに帰宅。どうやら職場で可及的速やかに対処せざるを得ない事態が発生した模様。

今となってはご苦労様と労いの言葉をかけるべきタイミングであったと反省しつつも、まだまだお子ちゃまだった僕たち兄弟は、如何に腹が減っているかを訴える他なかった。そして母は当然すぐに食事の用意に取り掛かってくれるだろうと思っていた。

が、その目論見は外れる。

腹が減っていたのは我々だけではなかった。

職場から帰って来て、我々の訴えに耳を貸すことなく、安っぽくペラペラで小汚い薄ピンクのアノラック(防寒着)も着たまま、バッグも床に無造作にぶん投げ、雪平鍋でインスタントラーメンを作り、鍋からお鉢に移す事なく、熱々の鍋に口を付けてスープを飲み、黙々と箸を進め続け、そして完食した。

帰って来てからそれまで一言も発することなく、テキパキと空腹と寒さの2つを一気に解消した母親に戦慄を覚えたのも束の間。

それだけに留まらず、冷飯をまだ暖かいラーメンスープに入れ、やはり米粒1つ残さず見事に完食。そしてスープも完飲。

ふぅ…。と、おなかの虫が落ち着いたのだろう…。
まるで何事もなかったのように彼女は夕食の準備を始めた。
眼鏡はまだラーメンの湯気で少し曇っていた。
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コメント

なや

なや

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昔流れていた永谷園のCMで、鳴り響く黒電話を無視してハァハァ言いながらお茶漬けをすすったり、インスタント味噌汁と白米を勢い良く交互にかっ食らう男が何か嫌いで、でもその貧乏飯が妙に美味しそうに見えてしまうっていうモヤっとした記憶が今でも忘れられません。 メガネを曇らせながら満足してるシーンに人間味を感じますね。

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佐藤拓
佐藤拓
あさげ、時々、メシ…。 確かにしずる感満載で、見る人が見たら美味そうに食ってるようにも見えるシーンでした…が、母がそれだと…ねぇ(笑)
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こぱん🐼

こぱん🐼

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そんなことをしたい時もある。母親も人間なのだ。

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佐藤拓
佐藤拓
そうなんです…母は子のためにいるもんだとばかり思ってた甘ちゃんでした…そして、食欲に負けてる人間を見た恐怖もありました(笑)
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ねむちᶻᶻᶻᜊﬞﬞ

ねむちᶻᶻᶻᜊﬞﬞ

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母ちゃん強くて好きだ

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佐藤拓
佐藤拓
千と千尋の神隠しの両親がブタになるシーンのような恐ろしさを目の当たりにしたシーンです…。 その後、母は、何事もなかったように、夕飯も平らげ、こたつでサスペンス見ながらぐーぐー寝てました…。
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