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ちゅーそん
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仗助
オレは…思ったこと、素直な気持ちをちゃんと表したいと思う派です
こた

てんぴ姫🫶🏻

HARUti☀️🌙
フェンリル5150
「助けて!誰か。お父さんがっ!お母さんがっ!」
二階客室から女の子が泣きながら海に向かって叫んでる。
希子がすぐに反応して、イルカの背を飛ぶように走り、客船に飛び乗る。
「どうしたの? お父さんお母さんが落ちたんだね?」
泣きながら何度もうなずく女の子の前にぼくをおろして、希子は海に向かって叫んだ。
「さぁ海の子供たち!この付近に流されている人間を残らず助けなさい!生きていても死んでいてもよ?急げ!!」
希子の声にイルカたちが一斉に散らばった。
それを見届けてから、希子は女の子に向かって微笑んで言った。
「もう大丈夫だからね。そのネコさんと、安全な場所で待っていて?お姉ちゃんとネコさんがみんな助けるよ。わかった?」
「…うん。ありがとうお姉ちゃん。お願いします。」
女の子が深々とお辞儀して言ったのを見て、希子がくしゃくしゃっと女の子の頭を撫でた。
「いいのお礼は。希?女の子を下のカーゲートまで下ろしたら、船内に残ったみんなをそこに誘導しなさい。急ぐよ!」
弾かれたように走り出す希子。
ぼくも急いで女の子に声をかけて誘導する。
「こっちだよ!ついておいで!」
女の子は驚きはしたものの、黙ってついてきてくれた。
***
「希子!間違いない。乗員乗客これでぜんぶだ!」
「ありがとう!こっちも集めたわ!」
石油運搬船のほうで乗員を甲板へ誘導していた希子が、甲板から叫んで、こちらに飛んできた。
「でも、生きてる救命ボートは四隻だよ?みんな乗れない。どうするの?」
ボートの定員は20名。ギリギリ乗っても30名が限度だろう。
あとの30人ほどが乗れない。でも急がないと引火してしまう。
希子を見上げると、笑っていた。
すごく綺麗な、ぼくの大好きだった太陽のような笑顔。
ぼくは大きく嘆息をして言った。
「君が笑ってるなら、ぼくたちは絶対に勝てるんだ。そうだったよね?」
「ふふふ。私たちは負けないよ? だって、世界最強の海賊なんだから」
そう言って希子は、また海に向かって叫んだ。
「海の子供たちよ! 私たちを陸地へと運んで!お願い!」
その声に呼応して、海面がみるみる盛り上がり、茶色の陸地が出来上がる。
よく見るとアカエイの群れだ。
アカエイたちが身を寄せあって、海面に巨大な陸地を作っている。
乗員乗客たちが驚いている。ムリもない。こんなのムチャクチャだ。
だけど、希子らしい。
ぼくは込み上げてくる笑いを隠せずに、クスクス笑いながら、乗員乗客たちを誘導してアカエイの陸地に乗せる。
まだ不安そうにしている女の子と乗員乗客たちに、今回のこの、希子がしたムチャクチャな救出劇の補足の意味で、説明した。
「えーと。ぼくの名前は希《マレシ》。この辺りでは、白神《しらがみ》さまって言われて祀られてる、化け猫だよ。怪我人はいるみたいだけど、みんな無事でよかったよ。そんで、とりあえず、ここで起きた事は、絶対に公にはしないで欲しいんだ。じゃないと、ぼくたちが生きていけないからね? 君たちは無事に助けるよ。だけど、絶対に言わないで。わかった?」
乗員乗客たちにざわめきが走った。
が、さっきの女の子がぼくの前に来て、大きな声で言った。
「わかったよ猫さん。猫さんとお姉ちゃんの事は絶対に内緒にする。お父さんとお母さんを助けてくれたんだもの。約束するね!」
乗員乗客たちから大きな拍手が起こり、みんな口々に約束するって言ってくれた。
希子がぼくにウィンクをした。
#GRAVITY創作部
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