赤坂行けばよかった(ムリ)｜まうの投稿-GRAVITY(グラビティ) SNS

朝、鏡の前に立つと、いつもより少しさっぱりとした自分が映っていました。数日前、思い切って立ち寄ったのは、千円カットと呼ばれる格安の床屋。正直、あまり期待はしていなかったのですが、店員さんが思いのほか丁寧にハサミを入れてくれたおかげで、仕上がりは予想以上に満足のいくものでした。耳から後ろをバリカンで整えてもらったことで、首筋に風が通り抜ける感覚があり、なんとも清々しい気持ちになります。鏡越しにふと見れば、白髪が少し増えたようにも感じます。カメラで後ろ姿を撮ってみると、「あぁ、年齢を重ねてきたのだな」と思わされました。けれど、それもまた悪くはないな、と心の中で微笑みました。
昨日から降っていた雨は朝には止み、午前中は曇り空。午後から再び降り出すとの予報を聞いて、思い切ってランニングに出かけました。道の両側には、彼岸花がちょうど満開。真っ赤に咲き誇る花たちが、まるで「がんばれ」と励ましてくれているかのようです。その景色に背中を押されるように、自然と足取りも軽くなっていきました。
遊歩道に差しかかると、夏の間、濃い緑の葉を茂らせて日差しを遮ってくれていた桜の木々が、少しずつ茶色に色づきはじめていました。昨日の雨で、枝を離れた葉が足もとに舞い落ち、道に散らばっています。その様子を眺めながら、「あぁ、夏が確かに過ぎて、秋が少しずつ近づいてきているんだな」としみじみ思いました。
川沿いの堤防に出ると、水面は昨日からの雨で濁り、流れを速めています。けれど、その景色にもどこか力強さを感じました。ふと顔を上げれば、山の稜線に雲がかかっています。青空の下でくっきりとした稜線を眺めるのも美しいけれど、こうして山の頂上付近にやわらかな雲が漂う姿は、幻想的で不思議と心を落ち着かせてくれます。
走り終えた身体には心地よい疲れが残り、胸の奥には温かな充足感が広がっていました。髪を切って少し年齢を感じたことも、秋へと移ろう景色も、川や山が見せる表情も――そのひとつひとつが、今日を穏やかに彩ってくれているのだと思いました。