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天月 兎
第十二話 後編
先行部隊より少し遅れ、早めに王城に戻ってきたルーヴェリアは、謁見の間で躊躇うことなく言い放った。
ルーヴェリア「帝国方面より魔族の侵攻有り」
ざわめき出す周囲の者達を片手で制し、国王はルーヴェリアに尋ねた。
国王「本当に魔族の侵攻なのだな、帝国はどうなっている」
ルーヴェリア「はっ。帝国は既に魔族の手に堕ちているとその場に居た魔族より伺っております。その魔族を捕える事はできませんでした。申し訳ありません」
そこまで言うと、周りがまたざわめき出した。
化け物と呼ばれている分際で魔族一人捕えることすら出来ないとは、使えない。
長年第一騎士団長を務めていたというのに、敵を目前にして逃げ帰ってきたのか?と。
国王は、今度は咳払いをして周囲を黙らせる。
国王「こちらの損失は?」
ルーヴェリア「私が率いていた騎士団500名は総員撤退させた為、残存兵力は500。先行部隊の1000名は総員戦死しました。敵は帝国兵500の増援でしたが……」
ルーヴェリアはそこで一呼吸区切りを入れてから語り出す。
ルーヴェリア「魔族の使用する死霊変化の魔術により、すでに我が国の兵士が倒した敵も、戦死した兵士も魔族に操られ、総数は2500を超えていたと思われます」
国王はそうか、と暫し考えた後、ある疑問が浮かんだらしく、更にルーヴェリアに問いかける。
国王「その死霊兵士達はどうなった」
ルーヴェリア「私が一人と残さず全滅させました」
国王は目を見張った。禁書の内容は知っていて、過去の戦いで多くの戦果をあげ今に至っているということは理解していたが、数千に上る敵兵をたった一人で殲滅してしまうとは。
周囲の人間も、驚きのあまり言葉が出てこないらしい。
ルーヴェリア「死霊は少しでも遺体の一部が残っていればそこから再生する特性を持つ魔物です。故に、鎧すら残すこともなく滅してしまいました。彼らのご家族には、私が直々に頭を下げて参ります」
国王はいや、と首を振った。
国王「これから戦いは激化する。死者が出るたびにそのようなことをしていては、身が持たないだろうし時間も勿体無い。彼らには申し訳ないが、私から弔いの花を贈ることにする」
ルーヴェリア「……そうですか」
わかりました、とルーヴェリアが言ったところで、話は一区切りついた。
そして次は国王の方から話を切り出す。
国王「騎士団長、ルーヴェリア・シュヴィ・ヴィルヘルム、クレスト・アインセル、テオ・アルストルフ、前へ」
3名は呼ばれるがまま国王の前に跪いた。
国王「これより、魔族との戦闘が激化することを見込み、大規模な兵力の拡大を行うこととする。そこで、我が息子である第二王子アドニスを騎士団長の座に就かせることにした」
アドニスは、これまでの会話を理解するのに一苦労だったが、ひとまず心を入れ替えて彼ら3名の前に立つ。
国王「これからは、第一騎士団長にアドニスを、第二騎士団長にルーヴェリア、第三騎士団長にクレスト、そして第四騎士団長にテオを任命する。この国を、民を守ってくれ」
4人は国王の前に跪き、その命を拝する。
国王「それから、アドニス、テオ、お前達二人は魔族がどんなものかよく分からないことが多いだろう。禁書保管庫への入室を許可するので、他二人から享受しつつ、しっかりと学ぶように」
アドニス「は、はい!」
テオ「承知しました」
国王「以上である」
この言葉に、宰相も、その他集まっていた各領主達やその名代、騎士団長達もその場を後にしていった。
人の少なくなった部屋はとても寂しいものだが、隣に妻がいてくれることが幸いした。
王妃「あなた、怖いのね。手が震えているわ」
そっと国王の手に自分の手を重ねながら言うと、彼はこくりと頷いた。
国王「怖いさ。伝記や禁書に描かれていたあの時代から、遥かに年月が経っているとはいえ…この国は平和に慣れてしまった……だから、負けてしまうかもしれないとさえ思っている」
王妃は首を横に振った。
王妃「貴方がそんなことでは本当に国が傾いてしまうわ。怖くても、毅然と振る舞って。その姿を見るだけで、この国は大丈夫だと民は思うことが出来るの。大丈夫、辛いことがあれば私が一緒に背負いますから」
国王はありがとうと小さく呟いて俯いたのだった。
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渚🔥
私は頭の中でこねくり回してそのまま書き出します…
だから短編しか書けないんだ…
地の文とかいまだに何を書けばいいのかわからないままにフィーリングで書いている…
いいんだ…なんとなく描きたい心情描写や会話を書ければそれでいい…

ぺに山

ノンす
きばっていかんば
身近な島で昔の住んでいた人の話しを生で聞いたことあって
すごい島やったってことも
懐かしむお話しも
そんな歴史あるところで住んどる
当たり前のことなんやけど
みんな誰かの歴史の上に成り立っているんだろうけどさ
すごいよね

🌸はな

きび
来年他界隈推しカプのアンソロも出たりするんですよ…そっちは執筆するんですけど…もうほんと今から来年最高の年になる……

よまい
あと中駒の立ち絵。銃とチョッキみたいなの、ずっと脱いで―って思ってた。

畔樹は
取得条件がマジで全く分からんが学者というトロフィーをゲットしたぞ!
なんやこれ(なんやこれ
あと今なんか機械チックな場所に来てる
もしかしてここに小石男や月みたいに他の人形居たりしない?

やせい

かぐや

つう
いやースゴいよ!
初めて令和ロマンを知ったのはニューヨークチャンネルの花鳥風月問題動画だったけど、先輩たちに食ってかかっていく姿がもうとにかく面白かったなぁ
あの頃から「お笑い」にまっすぐでブレてないお二人
前人未到の2連覇!
スゴイものをみせてもらいました!
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