ここまできたらシオノメくん来てほしい思い出の中でじっとしててほしいけど。

石田三成と大谷吉継のお話が好きです。
三成が、家康打倒の挙兵を吉継にうちあけると全力で反対し、説得できないとわかるとほとんどの人は去りますが、全力で協力した吉継のように私はありたいです。

かつて私はカバン１つで大阪を旅立ちました。神戸、京都、名古屋、横浜と流れ歩き、東京に来ました。
ちょうどゴールデンウィークでした。この時、財布と携帯を失くしました。キャッシュカードは無事でしたが、当時、銀行ATMは土日祝はお休みです。GW残り数日、東京に来たばかりで知り合いが全くいない中、小銭入れの数百円が残金でした。
私は唯一覚えている携帯番号、大阪の友人であり元同僚に公衆電話から電話をかけました。

20代半ば、代議士秘書だった私はよく訪問する会社の警備室で、小説『鉄の棺』を目にしました。持ち主に話しかけてみると、元海上自衛隊の人でした。それからお会いする度に話をするようになりました。
夜、誰もいなくなった会社の警備室で、彼と日本の未来について語らいました(若い…)。
そして、彼を政治の世界に誘いました。その後、私は公職選挙法違反で逮捕され大阪を旅立ちましたが、彼はそのまま大阪で代議士秘書を続けました。

彼はすぐに電話に出ました。所持金の関係で持ち時間は数分。
単刀直入に、東京で財布を失くし所持金が数百円、GW明けたら返すので、東京駅にお金を持って来てほしい、と。
彼は、一切細かいことは聞かず、

「わかった。昨日もりんちゃんとこに行ったから１万３千円しかないけど、これから持っていくよ」

東京駅での待ち合わせ場所を確認して、電話を切りました。切ってから私は不安になりました。彼が中国人ホステスに入れ込んでいたのは、大阪で一緒に働いていた頃から知っていました。１万３千円では往復新幹線代にもなりません。しかし、その時の私には彼が唯一頼りなので、東京駅で待ちました。

彼は現れました。大阪にいた頃は、水商売の女性に騙されやすいことにしょっちゅう苦言を呈していましたが、とてもかっこよく見えました。改札越しに１万2千円受け取りました。
彼がどうやって東京に来て大阪に戻ったかはここでは書きません。

その後、彼の初出馬の時、私はすべてを投げ打って、彼の元へ馳せ参じました。
そして、彼は某公職についています。
水商売の女性に惚れっぽいのは相変わらずです。