発進した電車が遠ざかる。まだ遠いその響きを「到着」の合図と信じ込み、登りエスカレーターへ飛び乗る少年たち。一段飛ばしの靴音と荒い息づかい。ホームの喧騒に負けぬ足取り。大人の私には愛おしく映る。あの日の私もそうだった。未来へ向かう気がしてた。背中のランドセルが揺れていた。#エッセイ